パネルディスカッションに登壇した秋田執行役常務、宮本会長、片山大臣、宮間副委員長(左から) 日本サッカー協会(JFA)は14日、『JFA成長戦略2026-2031〜サッカーでみらいをつくる〜』の一つである「女子サッカーの拡大」の実現に向けた「女子全体戦略」を発表した。
『JFA成長戦略2026-2031』は「競技面での成果」「女子サッカーの拡大」「社会的価値の創出」を3つのビッグゴールとし、その達成に向けて「5つの柱」と横断して支える「3つの梁」(※記事下部に参考)よって戦略を構成している。
今回はその柱の一つである「女子全体戦略」にフォーカス。同日に「JFA未来会議 ―女子サッカーの成長へ―」を開催し、宮本恒靖JFA会長、宮間あやJFA女子委員会副委員長に加え、みずほフィナンシャルグループ執行役常務の秋田夏実氏、そして片山さつき財務大臣が登壇し、パネルディスカッションを行うなどした。
JFAは2031年までの目標として、「競技成績の向上と女子サッカーの価値向上の両輪に関わる人を増やし、欧米先進国に比肩する高成長市場に到達する」ことを掲げ、主要国際競技大会での優勝、女子サッカー関連人口(女子登録者数、女性指導者、女性審判員、観客者数、視聴率、選手等のSNSフォロワー数)の倍増、女子サッカー推奨度(マクロミル調査。現在はプレー推奨度が29.2ポイント、観戦推奨度40.2ポイント。トップはバレーボール※同36.5ポイント、47.6ポイント)の10ポイント増を具体的なターゲットとして設定した。
日本においての女子サッカーのブランド価値を高め、市場拡大や投資価値の向上を見据える。そのためにJFAだけでなく、WEリーグやなでしこリーグ、男子サッカーとも連動して日本サッカー界全体で取り組み、競技レベルの向上や競技人口、育成年代の拡大を大前提として、JFAとしても投資や女子部門での積極的なマーケティング活動も行っていく構えだ。
宮本会長は、「U-18女子サッカープレミアリーグを作ることで、できるだけ早く高いレベルを経験し、WEリーグ、なでしこリーグにつなげる、その先の海外リーグ、なでしこジャパンにつなげることが理想です。そこにつながる基盤で言うとU-15のチームを増やしたいですし、U-12から上がるところの受け皿を増やすことも必要ですし、高校選手権の出場校するは増やしましたが、一気通貫してやりたい」と、育成面では2027年4月から始めるU-18女子サッカープレミアリーグや、原則1都道府県1代表制として出場校数を拡大して2年が経過した女子高校選手権を挙げ、10代の選手たちの環境整備の重要性を説いた。
パネルディスカッションで登壇した片山大臣はサッカーとの関わり方のエピソードを披露。自身は埼玉県浦和市(現さいたま市)出身ということもあり、『赤き血のイレブン』のモデルとなった浦和南高校が近所にあったことなどでサッカーに馴染み深く、レベルの高いサッカーを学生時代から見てきたと話す。また、同じ浦和市出身の反町康治氏が近所に住んでいたこともあって、片山大臣の母親がよくかわいがっていたといった話が明かされた。さらに東京大学ア式蹴球部史上初となる在学女子生徒によるマネージャー就任が自身であることも披露している。
自身の新潟県の後援会会長がアルビレックス新潟の池田弘代表取締役会長であるため、コミュニケーションと取っていたり、皇后杯を観戦に訪れたりしたようだ。その中で世界の状況も含めた女子サッカーの状況も意見交換をして得ているようで、「まだまだインフラが整っていないことは当然あるでしょうし、それはほかの分野でもあります。ゴルフでも名門コースと言われる場所でも例えば女性のお風呂が小さく、ロッカーが少ないことも当たり前にある国で、本当にもったいない。WEリーグも(歴代チェアの)岡島さんや高田さんともお話ししたこともありますが、女性のサッカーは強いのに、国としてなぜもっと押せないのかという話があり、なかなか答えが出ないですが、Jリーグが最も成功したスポーツビジネスのプロトタイプと言われているので、男子のJリーグにある程度引っ張ってもらうところもあるのとは思います。我々が特別なことができるすれば橋本聖子さんというレジェンドが参議院の自民党の仲間にいて、プロ化していく中で、女性を特に引き上げるため、アファーマティブ・アクション(人種やジェンダーなどによる構造的差別の積極的是正)を取っていいのか、取るとすればどういった理由があるのかが一つの壁であると考えています。スペインのラ・リーガはある程度、それをやったらしいという噂もあるので」と続け、日本ではコンテンツへの投資が重要である中で、スポーツもそのコンテンツの一つとして有力であるため、まだまだ是正・発展の余地があるとの見解を示した。
宮本会長ははさらなる先の目標として2039年の女子ワールドカップ開催を見据える。片山大臣は「(日本開催の女子ワールドカップを)絶対見たいです。2031年くらいに(39年の開催国が)決まるんですよね?まずは目指す宣言をする。そこに向けてサッカー界として、政府や経済界も一緒に打ち出すと決めるだけで、すごく盛り上がるでしょうし、投資しようとする人も増え、(出場を)目指す女子も増える」と話すと「あちこちに根回しした方がいいですよ」と宮本会長にアドバイスすると、宮本会長も「それは正式にということで…?」と笑わせつつ、「政府の関係者、経済界、パートナー、メディア、そしてファン・サポーターの皆さんを含めて、みんなで目指していきたいと思います」と宣言している。
※参考
▽5つの柱
(1)「Japan’s Way」:競技力向上と生涯スポーツ(ウェルビーイング)の相乗効果を提唱。「世界一、サッカーで幸せになること」への道筋を示す
(2)「女子全体戦略」:競技成績と普及・ファン拡大を両輪に女子サッカーの価値を向上させる
(3)「都道府県サッカー協会発展戦略」:各都道府県サッカー協会(FA)の経営基盤を強化する
(4)「パートナーシップ戦略」:価値共創を通じてパートナー価値を最大化する
(5)「国際戦略」:国際サッカーの発展に貢献し、国際プレゼンスを向上させる
▽3つの梁
(1)「組織・人財戦略」:成長戦略の推進に向けて、チャレンジが自然発生する組織に変革する
(2)「DX戦略」:デジタル活用で、サッカーを「する」「見る」「関わる」人々の豊かさをサポートする
(3)「サステナビリティ戦略」:未来の子どもたちのために、サッカーを起点とした行動変容を創出する