《無塩・無糖の食生活》「血圧を下げ、自然にやせる」循環器の現役医師が25年続ける我慢しない“健康術”

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2026年09月06日 07:00  週刊女性PRIME

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《無塩無糖の食生活》78歳現役医師が25年続ける「我慢しない健康術」

 健康のために塩分を控える、甘いものはとりすぎない─高血圧、高血糖を改善する、基本の食生活である。

健康法としてではなく“たまたま”からスタート

 その基本をさらに進化させて実践しているのが、循環器内科医として55年以上診療に携わってきた中尾正一郎先生だ。中尾先生が25年間続けているのは「減らす」のではなく、食塩と砂糖を使わない「無塩・無糖」の食生活。極端な方法にも思えるが、先生自身は「身体が本来の状態に戻っていき、ラクになる感覚がありました」と振り返る。

 実はこの食生活、健康に良いかもという理由で始めたわけではない。きっかけは、単身赴任中に作った野菜炒めだった。調味料が手元になく、塩もしょうゆも使わずに作ってみたところ、「意外とおいしい」と実感。その経験から、少しずつ食塩と砂糖を使わない食生活に移行していったという。

「当時は、周囲の医師から『極端すぎるのでは』『反対に身体に良くないのでは』と心配されることもありました。そのため約17年間はほとんど公表せず、自身の身体の変化を静かに観察してきました」(中尾先生、以下同)

 しかし、年月がたつうちに、この食生活は高血圧や糖尿病のリスクを考えるうえで、大きな意味があるのではないかと思うようになった。

「高血圧と糖尿病は、全身の血管に影響を及ぼす大きな病気です。無塩・無糖を続けた結果、私は『高血圧や糖尿病のない世界』を体験しているのだと気づきました」

 自身の経験や、食事指導を実施して薬が不要になった患者の経過を学会などで発表するようになると、周りの医師たちの反応も変わった。当初は「塩、砂糖をとらなくて本当に大丈夫なのか」といった質問が相次いだが、近年は「どのように患者に指導しているのか」と、実践方法を尋ねる医師が増えたという。

「医学や栄養学は、まだまだ不確かなことも多い。これまでの常識が見直されたりもしています。無塩・無糖の食生活もその一つだと思います」

「使わない」「食べない」ほうがわかりやすい

 一般的な健康指導では、「塩分や糖分はとりすぎないように」と説明される。しかし、中尾先生は「『とりすぎない』という考え方そのものが実践を難しくしている」と話す。

「『とりすぎない』とは、具体的にどのくらいなのか。それがわかりにくいのです」

 例えば高血圧の食事指導では、1日の塩分摂取量は6g未満が目標とされるが、食事のたびに塩分量を計算するのは簡単ではない。

「食塩を使わない料理なら、摂取量を計算する必要はありません。砂糖も、はちみつや本みりんなどを使うようにすれば、摂取量ゼロです」

「塩分をとらないと熱中症が心配では?」と聞かれることも多いが、肉や魚、野菜にもナトリウムは含まれているため、「普通の生活を送っている人であれば、食材由来のナトリウムで十分」だという。

味覚をリセットして素材のおいしさを感じる

 無塩・無糖生活というと、「味気ないのでは」と思う人もいるだろう。しかし、続けるうちに味覚そのものが変わっていくという。最初は確かに、「味がしない」「物足りない」と感じる人がほとんどだが、慣れると素材そのものの甘みやうまみを感じられるようになるのだ。

「患者さんの中には、最初はしょうゆなしでは豆腐を食べられなかった方もいました。でも10日ほどすると豆腐の甘みを感じ、1か月ほどで調味料なしでもおいしく食べられるようになりました。味を感じる舌の味蕾細胞は10日から2週間で入れ替わるといわれています。少しずつ、味覚が変わっていくのを体感してほしいですね」

 また、過度な食欲が落ち着き、体重が自然に落ちる人も少なくないという。

素材の味を引き出しおいしく無理なく続ける

 素材の味を引き出すコツもある。例えば、和食なら昆布やかつお節でだしをとることが基本だ。トマトや牛乳などのうまみの強い食材を加えたり、にんにくやしょうが、スパイスや薬味をきかせるのも満足感を高めるポイント。蒸し料理は、手軽に作れるうえに素材の甘みが自然に味わえる、おすすめの調理法だ。

「患者さんにも、まずはそのおいしさを体感してもらうことを大切にしています。今回紹介するわが家のレシピも参考にしてください。もちろん、初めから完璧を目指す必要はありません。まずは1品だけ、1食だけ、週末だけと少しずつ実践することをおすすめします」

 物足りないと思ったら、無理はせず、調味料を後がけで少量だけ使うことも継続のコツ。

「私自身も完全に無塩・無糖の生活になるまでには数年の時間をかけています」

 注意したいのは、高血圧の薬を服用している人だ。

「血圧を下げる薬を服用しながら無塩・無糖生活を始めると、血圧が下がりすぎる危険があります。主治医に必ず相談してからにしてください」

 本来の味覚を取り戻して、食事由来の病気を防ぐ。「無塩・無糖」の食生活は、人間本来の食に戻ることといえる。まずは、1品から始めてみてはいかがだろうか。

「無塩・無糖」生活のメリット

1.血圧が下がる

日本人の高血圧の約9割は、塩分のとりすぎが原因と考えられている。砂糖は塩味を感じにくくしてしまうため、「無塩」と「無糖」を同時に実践することが、高血圧改善のポイント。

2.血糖値の急上昇を防ぐ

血糖値を上げやすい砂糖や甘味料をとらないことで、食後高血糖が起こりにくくなり、食後の眠気やだるさも軽減。糖尿病の予防や改善にも役立つ。

3.腎臓の機能を保つ

高血圧や高血糖は、毛細血管の集まりである腎臓を傷つけ、腎機能を低下させる原因となる。「無塩・無糖」は腎臓を守り、長持ちさせる食習慣ともいえる。

4.自然にやせる

塩分や砂糖は食欲を刺激し、食べすぎの原因になりやすい。「無塩・無糖」を実践していくと自然と食事量が落ち着き、適正な体重を維持することができる。

5.胃もたれがなくなる、胃がん予防になる

「無塩・無糖」の食事は、満腹でも胃がもたれにくいのが特徴。食塩による胃への負担を減らすことで、逆流性食道炎や胃がんのリスク低減も期待できる。

教えてくれたのは中尾正一郎先生

医学博士。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定内科医。「無塩・無糖」の食事療法を研究・実践し、学会でも発表。霧島整形外科病院「食塩高血圧外来」にて、薬に頼らない治療を行っている。

<取材・文/田島えり子>

週刊女性2026年9月8日・15日号

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  • あるる人間にとってベストな食生活がすべての人間にとってベストとは限らない。
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