※この画像は生成AIによるイメージです スーパーで夕方以降によく見かける「値引きシール」。あと少し安くなるのを待ってから買うか、それとも早めに選んで帰るか、迷った経験のある人は少なくないはずです。売れ残りを減らす仕組みですが、同じ半額でも「買って正解のもの」と「思ったより残念だったもの」に分かれるのが実情です。
日本の食品ロスは依然として大きな課題で、農林水産省が公表した2024年度の推計によると、事業系食品ロスは237万トン。そのうちスーパーやコンビニなど食品小売業からは48万トンが発生しており、店頭に並ぶ商品をどう選ぶかは、家計だけでなく社会全体のロス削減にも直結する場面が少なくありません。
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだスギアカツキさんによる人気記事から、値引き総菜の“買い時”を見極めるための実践ノウハウ。同じ半額シールでも、時間が経っても味が落ちにくいもの、避けたほうがいいものがあるといいます。
記事の後半では、農林水産省が呼びかけている、私たち消費者にできる食品ロス削減のちょっとした行動もあわせてご紹介します。
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夜遅めの時間、スーパーマーケットの総菜コーナーに人が集まっている光景をよく見かけます。多くの人々の目当ては、“値引きシール”。直前まで定価で売られていた商品に3割引きや半額のシールが貼られ、途端にお買い得になるという仕組みです。普段買わないようなちょっとリッチな総菜も、半額になるなら手を出したくなることもあるでしょう。また、ここぞとばかりに買いだめをして、とにかく冷凍してしまうという人の声も聞こえてきます。果たしておいしく食べ切っているのでしょうか……。
多くの見切り商品は当日食べ切ってしまえば、健康上は問題ないものばかりですが、翌日以降になると途端に味が劣化したり、扱いにくくなることがあります。そうです、実は見切り品の選び方にはコツがあるのです。そこで今回は、買いすぎ注意のアイテムと、工夫をすることでおいしく食べ切ることができるオススメアイテムをご紹介していくことにしましょう。
◆「寿司類」と「魚の煮物」は当日中に
1:寿司類
はじめにご紹介する要注意アイテムは、寿司類です。使われている具材が生であるか否かに関わらず、すし飯は劣化が早く、時間が経つと固くボロボロになってしまう性質があります。これはどんなに温め直しても戻りませんから、当日食べ切れる分だけを購入するようにしましょう。
2:魚の煮物
続いては、魚食材を使った煮物や焼き物、揚げ物です。保存期間が長くなるほど魚特有の臭みが出てしまいますから、“魚は当日中”という認識を持つのが賢明。煮つけを冷凍する場合、魚の切り身は水分量が多く、解凍時に食感の劣化が進んでしまいますから、長期保存はタブーであることを覚えておきましょう。
◆大量に買うべきではない「おかず」と「丼物」
3:冷たいおかずや野菜のおかず
おつまみや冷菜になりそうな和え物や生サラダも要注意です。例えばキュウリがたっぷり入った蒸し鶏。加熱をしにくく、保存期間が長くなれば新鮮な食感や香りを維持することが難しくなっていきます。野菜は生野菜も温野菜も家庭用冷凍庫の保存には不向き。解凍時に食感の劣化を感じやすいため、大量の買いだめはオススメできません。
4:刺身や温泉玉子が入っている丼物
生の刺身や温泉玉子が入った総菜や弁当は、腐りやすい点で注意が必要です。例えば海鮮丼やユッケ丼などは店内に並んでいる場所もチェックすべき。冷蔵環境で売られているかお弁当の隣に並んでいるかによって、劣化のスピードも違います。いずれにしても大量買いには不向きであると断言できます。
今度は逆に、冷凍などで長期保存がしやすく、調理によってリメイクがしやすいアイテムをご紹介していくことにしましょう。
◆応用しやすい「刺身の柵」と「カレー類」
1:刺身の柵
サーモンや鯛などの刺身は、塩麴や味噌などに漬け込んで冷蔵または冷凍すれば、焼き魚として美味しくリメイクすることができます。ポイントは切り身よりも柵であること。一口大に切って味付けをして、パスタ材料にするなど応用しやすいのもメリットでしょう。
2:カレー類
エスニックカレーのルウが総菜として売られている場合は、野菜を足してリメイクすることが可能です。すぐに食べない場合は冷凍保存をするのもオススメ。ごはんの上に乗せて、とろけるチーズをかけて焼けば、いつもとちょっと違った“焼きカレー”を作ることができます。
◆「麺類」と「焼鳥」、「肉まん」もおすすめ
3:温め直しやすい麺類
麺類を選ぶ場合は、加熱して温麺にできるそうめんやうどんがオススメです。天ぷらを一緒に温めて鍋焼き風として味わうのも美味。逆に焼きそばやスパゲッティ類はアレンジしにくいので、とりあえずたくさん買っておくのは避けるようにしましょう。
4:焼鳥
焼鳥は串から外して冷凍しておくと便利に活用できます。たとえば、カレーやパスタ、チャーハンなどの具材として、もしくは親子丼や煮物などのポイント食材にすることで、香ばしい鶏肉料理が時短で作れてしまいます。同じ鶏肉総菜の場合、フライドチキンや唐揚げよりも焼鳥や照り焼きチキンを選ぶのがオススメです。
5:肉まん
パン類を選ぶなら、サンドイッチや総菜パン、クロワッサンよりも肉まんがオススメ。冷凍保存や電子レンジによる温め直しがしやすく、個別保存もしやすいのが魅力です。春夏シーズンは半額になっていることが多く、ねらい目とも言えるでしょう。
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総菜はすぐに食べられて便利である点が魅力ですが、冷凍食品に比べると割高になっている可能性があり、作り立てのようなおいしさは冷食の方が得意と言えるでしょう。半額シールに翻弄され過ぎることなく、劣化しにくいこと、リメイクのしやすさ、温めやすさ、冷凍保存が可能かどうかを冷静に見極めて適量を購入する。これが無駄のない買い物に繋がる大切なポイントです。
<TEXT/スギアカツキ>
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◆■半額シールは、誰のロスを減らしているのか
冒頭でも触れたように、日本の食品ロスは2024年度の推計で年間461万トン。事業系237万トンのうち、スーパーやコンビニなど食品小売業から出ているのが48万トンです。ただ、見落とされがちなのが家庭系の224万トンで、ほぼ半分は私たちの台所から出ています。値引きシールは、店側が「捨てたくない」と最後に打つ一手。それを買って食べ切れば店頭のロスは減りますが、半額に釣られて買いすぎ、冷凍庫の奥で忘れ去ってしまえば、ロスの発生場所が売り場から自宅に移るだけ、ということにもなりかねません。
農林水産省も、食品ロス削減に向けた消費者の行動のひとつとして「賞味期限の近い値引き商品を買う」ことを呼びかけています。同じページで挙げられているのが、棚の奥から新しいものを取らずに陳列されている順番に買う、という小さな習慣。国は事業系の食品ロスを2030年度までに2000年度比で60%削減する目標を掲げていますが(従来は50%削減)、そこに近づけるかどうかは、レジ前に立つ私たちの選び方にも左右されるわけです。
その意味で、今回紹介された見極め方は、節約術であると同時にロス削減の実践術でもあります。当日中に食べ切るものと、下味を付けたり冷凍したりして後日に回せるものを分けて考える。半額だからと反射的にカゴへ入れる前に、自分が何日で食べ切れるかを一瞬だけ計算する。値引き総菜を上手に選ぶことは、家計にも小売現場のロス削減にも繋がる、ささやかで確かな一歩と言えそうです。
<再構成/日刊SPA!編集部>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。