※写真はイメージです(画像生成にAIを使用しています)「近所のスーパーで同じ服装のおじさんをたくさん見かけた」「うちの夫も、ほぼこのコーデ」――。
白の無地Tシャツに黒の短パン、ショルダーバッグ、サンダル。いわば「夏のパパの量産型コーデ」として、ネット上で半ば揶揄するように語られている定番の装いだ。
しかし、当の夫たちにとっては、暑さや家事・育児に対応するための“合理的なスタイル”でもあるらしい。今回は、そんな夫たちの言い分を聞きつつ、全国の既婚女性100人を対象としたアンケートから妻たちの本音に迫った!
◆“量産型”は、全員が同じ正解に行き着いた証拠
中村拓也さん(仮名・40代・既婚・子どもなし)は、まさにこの格好でスーパーなどへ出かける一人だ。ネット上での嘲笑的な見方に対して、こう言い切る。
「“量産型”と呼ばれるのは、全員が同じ正解に行き着いた証拠だと思っています。誰かに強制されたわけでもないのに、同じ服装に収束している。それは妥協ではなく、“最適化”です」
彼が服装に求める条件は明快だ。
「暑さをしのげること、汗をかいても惜しくないこと、買い物カゴを持っても邪魔にならないこと、5秒で家を出られること。この4条件をすべて満たす服装がほかにあるなら、教えてほしい」と中村さんは言う。また、シンプルな組み合わせなのは、「判断の回数を減らすための工夫」でもあるとか。
「現代人は仕事など、1日に決めなければならないことが多い。だから、服で悩む時間をゼロにした。朝、『何を着るか』を考えるのをやめた人たちが行き着いた先が、たまたま同じだった。それだけの話です」
まるでスティーブ・ジョブズ……!
◆子どもが生まれてから、服に求めるものが変わった
田中健介さん(仮名・38歳・既婚・子どもあり)は、SNSで「パパの制服」という投稿を見かけ、「完全に自分じゃん」と笑ったという。そんな彼にもこの格好を選ぶだけの理由があった。
「おしゃれを完全に諦めたというより、結婚して子どもが生まれてから、休日の服に求めるものが変わったんです」
白Tは何にでも合わせやすく、気軽に洗える。黒の短パンは子どもと動き回るのにラクなうえ、汚れが目立ちにくい。サンダルなら、「ちょっとスーパーに行こう」「アイスを買いに行こう」となったときにも、すぐに外出できる。コーデのなかでも、ショルダーバッグには特にこだわりがあるという。
「財布やスマホ、鍵だけでなく、子ども用のウェットティッシュなども入れています。両手が空くので、買い物袋を持ったり、子どもと手をつないだり、急に『抱っこ』と言われたりしても対応できます。こう考えると、一応、全部のアイテムに理由があるんです」
独身の頃は、休日でもシャツを着て、靴に合わせてパンツを選んでいた。しかし現在は、「清潔感があって、変じゃなくて、動きやすければいい」という基準に落ち着いたそうだ。
◆一見同じに見えても、自分なりの「個性」を出す
小川圭介さん(仮名・37歳・既婚・子どもあり)は、20代後半からこのスタイルを続けている。「動きやすく、気取らずに済むから」というのが基本的な理由だが、彼なりの“個性”も垣間見られる。
白Tを着る際は、インナーに黒いコンプレッションウェアを着用。短パンは、膝が隠れる丈を選ぶ。Tシャツは、完全な無地なら「ユニクロ」だが、「AH MURDERZ」や「EXAMPLE」のワンポイントロゴ入りも愛用。足元はサンダルではなく、「ナイキ」のジョーダンシリーズで統一しているという。
遠目には似た格好に見えても、小川さんなりに“ストリート系”のニュアンスを加えているのだ。
「ただ、月に1回のパパ友との飲み会では、集まったメンバーのほとんどが似た格好をしている、なんてこともよくありますね(笑)」
◆妻は「許容」するが、「おしゃれ」には感じていない
では、「夏のパパの量産型コーデ」に対して、妻たちはどのような目を向けているのか。Webアンケートツール「Freeasy」を使い、全国の20〜60歳の既婚女性100人を対象にアンケートを実施した。
調査結果から見えてきたのは、妻の74%がこのコーデを「許容」しているものの、必ずしも「おしゃれ」と評価しているわけではない、ということだった。
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Q.夫がこの服装で外に出かけることをどう思いますか?
まったく問題ない 42%
どちらかといえば許せる 32%
どちらかといえば嫌 23%
絶対に嫌 3%
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許容度を問う設問では、「まったく問題ない」が42%、「どちらかといえば許せる」が32%となり、合わせて74%が許容する立場をとった。
一方、この服装への印象を尋ねた設問では、「おしゃれ」に感じると答えた人は、わずか1%にすぎなかった。最も多かったのは「シンプルで無難」の48%で、次いで「動きやすそう」の37%だった。
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Q.この服装にどんな印象を持ちますか?(複数回答)
シンプルで無難 48%
動きやすそう 37%
手抜きに見える 19%
若々しい 16%
清潔感がある 15%
生活感が出すぎている 15%
特に何も感じない 10%
おじさんっぽい 7%
個性がない 6%
子どもっぽい 6%
おしゃれ 1%
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つまり、近所への買い出し程度なら問題ないものの、外出着として積極的にこのコーデをしてほしいとは思っていない。「許容」と「おしゃれ」の間には、大きな隔たりがあるのだ。
◆許容できるかは「行き先の格」による
74%という数字だけを見ると、広く受け入れられているように映る。だが、夫がこの服装で一緒に出かける場合、妻が許容できるかどうかは「行き先の格」によって変わる。
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Q.夫がこの服装で一緒に出かける場合、問題ないと思う場所をすべて選んでください(複数回答)
徒歩圏内のコンビニ 75%
近所のスーパー 70%
車で行く大型スーパー 33%
ファミレス・ファストフード店 27%
ショッピングモール 21%
子どもの習い事の送迎 14%
旅行 14%
学校行事 5%
どこでも問題ない 5%
少し高めのレストラン 2%
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「スーパー買い出しコーデ」などと呼ばれることもあるが、コンビニや近所のスーパーでは7割前後だった許容度が、車で行く大型スーパーになると33%に急落。学校行事では5%まで下がる。「どこでも問題ない」と答えた妻も、わずか5%にとどまった。
この結果からは、「行き先の格」や「その場所で他人からどう見られるか」という意識が、判断を左右していることがうかがえる。日常的な外出には寛容でも、常識で考えてある程度きちんとした服装が求められる場所では、許容度が一気に下がるようだ。
◆「気になるところはあるけれど…」
全体の74%がこのコーデを許容している一方で、「特にネガティブな印象はない」と答えた人は39%にとどまった。裏を返せば、61%は何らかのネガティブな点を挙げた計算になる。
その理由として、具体的な回答は主に以下だ。
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Q.この服装について、ネガティブに感じる点があれば教えてください(複数回答)
短パンから出る足が気になる 34%
部屋着のように見える 17%
サンダルがだらしなく見える 17%
年齢に合わない 14%
ショルダーバッグが子どもっぽい 5%
量産型で個性がない 4%
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ネット上では「量産型」「個性がない」という文脈で語られることの多いコーデだが、「量産型で個性がない」はわずか4%である。むしろ妻から気にされているのは、短パンによる足の露出や、部屋着のように見える点、サンダルのだらしなさだった。
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妻たちは、このコーデを全面的に否定しているわけではない。気になる部分がある一方で、近所のスーパーやコンビニへ行く程度なら許容できるというのが、全体的な傾向だった。
夫にとっては、暑さをしのげて動きやすく、育児や買い物にも対応できる“生活に最適化された服装”。妻にとっては、“近所なら許せる生活着”。
両者が真っ向から対立することはなくとも、「どこまで着ていくか」をめぐって微妙に食い違うことはあるだろう。
佐藤恒一さん(仮名・32歳・既婚・子どもなし)は「もしも妻から『その格好で一緒に歩くのが恥ずかしい』と言われたら、たぶん多少は変えると思います。自分一人ならあまり気にしないですが、妻と一緒に出かけるなら、嫌だと言われてまでする必要もないかなと。ただ、毎回きっちりおしゃれをするというより、シャツを1枚羽織るとか、そのくらいの調整になると思います」と語る。
小島圭佑さん(仮名・40代・既婚・子どもあり)に至っては「出かける際は念のため、妻に『この服装でいい?』と聞きます」と、事前確認を欠かさない。
白の無地T、黒の短パン、ショルダーバッグ、サンダルは、夏のパパにとっての“最適解”なのかもしれない。とはいえ、どこへでも着ていける“万能解”ではなさそうだ。
【調査概要】
調査日:2026年8月26日 対象:全国の20〜60歳の既婚女性100人 方法:Freeasyを利用したインターネット調査
<取材・文/藤井厚年>
【藤井厚年】
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌・書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi