無罪男性のDNA型抹消判決、国は上告せず 警察庁長官が方針表明

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2024年09月12日 14:10  毎日新聞

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無罪が確定した男性のDNA型などを抹消すべきだとした名古屋高裁判決について、上告しない方針を明らかにした警察庁の露木康浩長官=東京都千代田区で2024年9月12日午前、山崎征克撮影

 無罪判決が確定した男性のDNA型や指紋、顔写真を警察庁のデータベースから抹消すべきだとした名古屋高裁判決について、警察庁の露木康浩長官は12日の定例記者会見で「抹消するという結論について争う理由がないと判断した」と述べ、上告しない方針を明らかにした。


 原告は名古屋市の薬剤師、奥田恭正さん(68)で、2016年にマンション建設の反対運動中に現場監督を暴行したとして逮捕、起訴された。その後、防犯カメラの映像などから無罪が言い渡され、確定した。


 今年8月30日の名古屋高裁判決は、無罪が確定していることなどから、DNA型などの抹消を命じた1審判決を支持。データ管理は国家公安委員会規則や警察庁の通達で運用されていることに対し、「立法措置が必要」と指摘していた。


 露木長官は「立法の要否は、最終的には立法府において判断されるもの」としたうえで、「現在の運用を前提とする判断を示した裁判例も相当数あり、裁判所の考え方も分かれている」と指摘。「直ちに立法などの措置が必要になるとまでは考えていない」と述べ、法整備については否定的な見解を示した。


 警察庁によると、DNA型や指紋、顔写真などのデータ抹消に関連する訴訟は、今回の訴訟を含めて20件。うち判決が確定した15件ではいずれも国側が勝訴しており、今回、国側の敗訴が確定すれば初めて。国の上告期限は13日で、判決が確定すれば、警察庁は「速やかに」奥田さんのデータを消去するという。


 原告の弁護団長の国田武二郎弁護士は取材に「国は100%上告すると思っていた」と話した。奥田さんは立法化を望んでいるため、「複雑な気持ち」と話していたという。上告するかどうかは13日に決めるという。【山崎征克、道下寛子】



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