ぼくらのドラえもん大山のぶ代さん死去 認知症闘病11年…介護施設で歌には反応

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2024年10月12日 05:03  日刊スポーツ

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大山のぶ代さん(2006年6月撮影)

テレビ朝日系アニメ「ドラえもん」のドラえもん役などで知られる、俳優・声優の大山のぶ代(おおやま・のぶよ)さん(本名・山下羨代=やました・のぶよ)が、9月29日午後4時23分、老衰のため都内の病院で死去した。90歳だった。


11日に所属事務所が公表した。13年に認知症を発症し、1人で介護していた夫の俳優砂川啓介さん(17年に80歳で死去)が15年に公表後は、老人介護施設に入所。近年は老衰による体調不良で入退院を繰り返していたという。親族のみで密葬を執り行った。


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子どもから大人まで、誰もが1度は聞いたことがある「ぼく、ドラえもん」。この日本アニメ史に、さん然と輝く名ぜりふをアドリブで生み出し、愛らしいハスキーボイスで日本の子どもたちに夢を与え続けた大山さんが静かに旅立った。


関係者によると、大山さんは砂川さんが自らのがん治療に専念しなければならなくなり、老人介護施設に入所した。当初は簡単な受け答えはでき、ピアノの先生が懐かしい楽曲を弾けば「思い出して大きな声で歌った」(同関係者)という。簡単な問いかけにうなずくなど、言っていることは理解しながら、晩年は会話が難しくなっていたという。熱が出たり、貧血などで入退院を繰り返した中、9月19日が最後の入院となった。


大山さんは、母の死をきっかけに都立三田高在学中に俳優を志し、俳優座養成所の6期生になった。56年に、同期の冨士真奈美とともに出演したNHKドラマ「この瞳」でデビュー。翌年に卒業後は、テレビドラマに出演した。


一方でハスキーボイスを買われ、NHKの人形劇「ブーフーウー」で3兄弟のブー役を途中交代で担当。声優の仕事も増え、69年にフジテレビ系アニメ「サザエさん」で「初代」磯野カツオの声を担当。79年4月にスタートした「ドラえもん」で演じたドラえもんは、原作の故藤子・F・不二雄さんが「ドラえもんはこういう声だったんですね」と認めた、一世一代の当たり役となった。番組25周年の区切りや高齢化などの理由で、05年4月に主要声優陣が一新、交代するまで演じた。


降板の際に「遠い未来までずっとずっとみんなに愛される『ドラえもん』であってほしい」と願ってから19年…。その言葉どおり「ドラえもん」は、今も子どもたちに愛され続ける。大山さんの声で育った子供が、親になって子供につないでいった表れだ。紡いだ歴史が伝わったのだろう。関係者は、亡くなった大山さんの表情は「本当に安らかな顔でした」と明かした。


◆大山のぶ代(おおやま・のぶよ、本名山下羨代=やました・のぶよ)1933年(昭8)10月16日生まれ、東京都出身。海外作品の吹き替えを務めたのをきっかけに声優となり、アニメでは「ハリスの旋風(かぜ)」「のらくろ」「ハゼドン」などで主人公の声を演じた。06年に自伝「ぼく、ドラえもんでした。」を出版。07年には声優などを養成する専門学校の校長に就任。17年に亡くなった夫の砂川啓介さんは、NHKの初代「たいそうのおにいさん」。

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