先月の衆院選で過半数割れし、自民、公明両党が異例の「少数与党」で臨んだ特別国会。11日午後の衆院本会議では首相指名選挙の票数が注目されたが、決選投票では84票の無効票が出た。再指名された石破茂首相は険しい顔つきで様子を見守った後、ほとんど表情を変えずに議場を後にした。
衆院本会議は午後1時に開会した。10分前のベルが鳴ってすぐに姿を見せた石破氏は、周囲の議員と談笑した。
議長、副議長の指名を終え、同2時半ごろ首相指名の投票がスタート。石破氏は221票で過半数には満たなかったが、与党会派の合計数と同一で、議場では「うん」と声が上がった。
30分間の休憩を挟み、同3時半ごろ、決選投票に向けて石破氏が再び議場に入った。着席後、すぐ投票用紙に自身の名を記入。名前を呼ばれた野党議員から投票が始まると、腕組みをしたまま、体を机に預けるような形で前のめりになった。
同僚議員との会話で時折笑みを見せつつも厳しい表情は崩さず、名前を呼ばれた後、壇上に向かうと一礼して一票を投じた。投票後、決選投票で相対した立憲民主党の野田佳彦代表の前を通ったが、視線を合わせることはなかった。
職員十数人が開票に当たり、午後4時10分ごろ、結果が議長に届けられた。84票の無効票が告げられると、議場は「えーっ」という声でざわついた。石破氏221票、野田氏160票と伝えられ、勝負は決着。石破氏は周囲に4回一礼して同僚議員から握手で祝福され、頬を緩める一幕もあったが、表情は硬いままだった。
首相指名選挙の決選投票が行われた衆院本会議=11日午後、国会内