「言葉信用しないから書く」=現代詩の可能性を生涯追求―谷川俊太郎さん死去

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2024年11月19日 14:01  時事通信社

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時事通信社

谷川俊太郎さん=1980年5月
 「あの青い空の波の音が聞(きこ)えるあたりに 何かとんでもないおとし物を 僕はしてきてしまったらしい」(「かなしみ」)

 平易な言葉で透き通るような叙情を紡いだ谷川俊太郎さん。第1詩集「二十億光年の孤独」から晩年に至るまで、「詩で何ができるのか」と飽くなき追求を続け、現代詩の象徴的存在となった。

 「言葉がうまくつながると、通常の論理や意味を超えて活性化する。言葉は生命体みたいなもの」。少年時代から歴史や物語になじめなかったという谷川さんは「生きることと言葉の関係を書く」ため、過剰な意味から解き放たれた「瞬間芸」の詩に自身を託した。

 目先にとらわれず、宇宙的とも評された世界観は、三島由紀夫や大江健三郎ら最前線の作家に影響を与え、欧米やアジアの詩人との懸け橋にもなった。「現代詩だけを書いていたら食えない。注文があれば子どもの雑誌でも婦人雑誌でも週刊誌でも書く」。ジャンルや硬軟を問わない仕事は、世代を超えて受け入れられた。

 晩年まで意欲は衰えなかった。コロナ下の外出自粛中にも「家でものを書く仕事だから」と苦でもない様子を見せ、非常事態が無意識に及ぼす影響を「詩にするしかない。この年齢になって詩を書くことは『救い』であり、これまでと違うものが書ける期待がある」と前向きだった。

 虚実入り交じる情報がSNSなどで飛び交う状況には「言葉がインフレーションを起こし、みんな自分の主体性に関係なく言葉を使っている」と嘆いた。「言葉を信用していないから、詩を書き続けている」。谷川さんならではのスタンスだった。 

このニュースに関するつぶやき

  • ご冥福をお祈りします、言葉を信用しない…というのいいですね。私も、人から言いたいことがあるなら紙に書いて提出してほしいと思う時があります。
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