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日本上空に流れ込んだこの冬一番の強い寒気は、9日午後から10日午前にかけてさらに強まるとみられ、日本海側を中心に雪雲が発達し、平野部でも大雪となる恐れがある。この強い寒波はなぜもたらされたのか。九州大の川村隆一教授(気象学)は、偏西風の極端な蛇行を理由に挙げる。
日本上空には冬場、大陸から寒気が南下する。川村教授によると、昨年12月以降、シベリアから日本上空へ頻繁に寒気が南下しているという。
影響として考えられるのが「ラニーニャ現象」だ。南米ペルー沖の海面水温が平年より低い状態が続く現象で、太平洋の熱帯域で東風(貿易風)が強くなり、海面付近の温かい水が西側に移動し、たまる。川村教授によると、昨年12月ごろ、南シナ海などの海上で大気の対流活動が活発になっていたという。
すると積乱雲が発生しやすくなり、それに伴う上昇気流の影響で、偏西風が日本付近で南に大きく蛇行。北からの寒気が入り込みやすくなったという。川村教授は「偏西風が極端に蛇行し、日本上空に気圧の谷が生じた」と説明する。
さらに、日本海の水温が平年より2〜3度高かったことも、大雪をもたらす副次的な要因として考えられるという。過去に日本各地に記録的大雪をもたらした雪雲の帯「日本海寒帯気団収束帯」(JPCZ)が今回も出現しており、「雪雲が発達しやすくなっている」と指摘した。
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降雪は10日にかけて北日本や西日本で続くとみられ、気象庁は雪崩や猛吹雪による交通障害への警戒を呼びかけている。【大野友嘉子】
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