肝臓がんの夫は余命半年 決意した妻が開いたのは7席の小さなお好み焼き店 大阪のソウルフード「ねぎ焼き」はまかない飯として生まれた

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2025年01月25日 06:40  まいどなニュース

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「ねぎ焼」三姉妹が生んだソウルフード物語©テレビ大阪

たっぷりのねぎに醤油とレモン風味が香る「ねぎ焼」。発祥となった「ねぎ焼やまもと」は、十三に本店を構える行列必至の超人気店です。今回は、そんなねぎ焼を大阪人のソウルフードに成長させた、苦難と愛情の誕生秘話をご紹介します。

【動画】行列必至!名店の「ねぎ焼」涙の誕生秘話

開業のきっかけは「夫の余命宣告」

1965年。夫・長治ととつつましやかに暮らしていた山本高恵に、長男から人生を一変させる言葉が告げられます。

長治の肝臓ガンが発覚し、余命半年ということ。「私、これからどうやって生きていったらいいの?」突如訪れた悲劇に涙する高恵に、長男は子どもたちで母親を支えていくと励まします。

夫婦には7人もの子どもがいました。上の2人は成人していたものの、末っ子の娘はまだ小学6年生。しかし、彼らを養ってきただけに高恵は料理の腕に自信がありました。

高恵は考えた末に、店を立ち上げることを長治に伝えます。当時は癌が発覚しても本人に告知しなかったことが多かったため、本当のことは告げませんでした。

お店の業種は、子どもたちから好評だった「お好み焼き」。そして、夫が生きている間に店を見せたいという思いからオープンを急いだ高恵。決意から4カ月後、実家があった十三にお好み焼き店を開業します。

座席はカウンター7席、メニューはお好み焼き・おにぎり・味噌汁の3つだけというスタート。お店の開業を喜んだ長治。その3カ月後に52歳の若さでこの世を去ります。

繁盛の理由は「大阪万博の工事」

経営はすぐに軌道に乗り、繁盛店となりました。

背景には、オープンから5年後に開催された大阪万博がありました。準備のため全国から集まった建設関連の従事者が、仕事の疲れを癒しに歓楽街・十三へ。その流れで高恵の店も繁盛したのです。

「ねぎ焼き」誕生のきっかけは娘のまかない

店の営業時間は夜11時30分まで、高恵1人で切り盛りするのは難しく、当時高校2年生の長女・雅子が学校終わりに手伝っていました。彼女の楽しみは、まかないとして大好物のお好み焼きを作ることでした。

高恵はそんな娘に、好きな具材と量で自由に作らせていました。雅子の好みは、大好きなねぎをたっぷ入れて食べること。

そんなねぎたっぷりのお好み焼きを、同じくねぎが大好きな妹たちにも家で振舞っていた雅子。ある時、妹がいつものソースでなく「しょう油」をかけてみないかと提案します。

さらに、別の日には「レモン」も加えてみることに。子どもながらの遊び心でアレンジしたお好み焼きを、三姉妹で楽しんでいました。

そして、しょう油とレモンをかけた同じものを雅子がお店のまかないで食べていると…それを見た客から「食べたい」とリクエストが!

三姉妹が遊び心で作ったねぎたっぷりお好み焼きが、常連客の中で評判になります。

開店から3年後の1968年、「ねぎ焼」として正式にメニューに。さらに店名を「ねぎ焼やまもと」に変更し、瞬く間に十三で誰もが知る店となりました。

そんなねぎ焼誕生の立役者・雅子さんは、50年以上経った今も母の味を守るため店に立ち続けています。当時中学生と小学生だった妹の2人も同じく現役でねぎ焼きを焼いています。雅子さんは「ねぎが大好きで、ただ好きなものを作って食べていただけで、ここまでの存在になるとは考えもしなかった」と話します。

ねぎを切りすぎて…

十三で不動の人気を誇る超人気店となった「ねぎ焼やまもと」。ところが2002年、最大の危機を迎えます。

毎日大量のねぎを切っていた雅子、涙が止まらなくなってしまったのです!イベント出店なども増え、人気になればなるほどねぎを気切らなければならず、涙だけではなく、慢性的な腱鞘炎にも苦しめられます。

そんな雅子を救ったのがセントラルキッチン。そこでねぎ切り機を採用したことで、月2トン(約1万束分)ものねぎをカットできるようになりました。

これならもっと早くから機械化した方がよかったのではとも思いますが、お店の求める切り口は綺麗な丸型でしたが、切れ味の悪い機械で切ると切り口は潰れてしまい繊維が壊れ、みずみずしさも失われてしまうのだそう。理想的にカットできる今のような機械の導入が困難だったのです。

全国展開しない理由

現在大阪で3店舗を展開する「ねぎ焼やまもと」。お好み焼き激戦区である大阪ではチェーン展開するお店が多い中、人気店にも関わらず、なぜそうしないのでしょうか?

理由は材料と人員確保の難しさにありました。

材料は厳選したねぎ、国産和牛を使用した質の良いスジ肉を使用する「やまもと」。それが全国展開によって集めるのが難しくなります。

人員については、大量に注文が入ると1人で15枚以上を同時に焼くこともあり、1枚1枚焼き加減を確認しながら焼いていくのは熟練の技が必要。そんな「焼き手」を担えるのは、「やまもと三姉妹」を含め3店舗で12人だけなのです!

3代目社長・山本竜太氏も焼き手の1人!ねぎ焼を焼いて30年、社長自らカウンターに立つ理由は、「お客さんが美味しいと満足する顔を見たいから」だそうです。

家族みんなで一丸となって頑張ってきたお店。これからもたくさんの「美味しい」を生み出して行くことでしょう。

番組情報

〇番組名
日経スペシャル もしものマネー道もしマネ
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1〜3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。

(まいどなニュース/クラブTVO編集部)

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  • こ〜ゆ〜お店はいつまでも繁盛してほしい
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