豊胸用薬剤、特許侵害=美容クリニック側に賠償命令―知財高裁

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2025年03月19日 21:01  時事通信社

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時事通信社

知財高裁が入居する庁舎「ビジネスコート」=東京都目黒区
 豊胸手術を受ける患者から採取した血液を含む薬剤を巡り、医療機器販売会社が自社の特許権を侵害されたとして、美容クリニックを営む医師に1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、知財高裁であった。本多知成裁判長は請求を退けた一審東京地裁判決を取り消し、約1500万円の支払いを命じた。

 知財高裁は、5人の裁判官による大合議で審理。特許法は特許の対象を「産業上利用できる発明」と定めており、採血という医療行為を通じて作られる豊胸用薬剤が対象になるかが争点だった。

 本多裁判長は、血液を含む医薬品の製造には医師だけでなく製薬産業などの寄与も大きく、技術発展のために特許による保護が必要だと指摘。「医療行為だから産業上利用できる発明に当たらないとは言えない」と述べた。

 その上で、医師が治療のために調剤する場合は特許が制限されるが、今回の薬剤は豊胸目的で「病気の診断、治療などに使用する物とは認められない」と判断し、特許侵害が成立すると結論付けた。

 医療機器販売会社の代理人弁護士は「医師による行為が不可欠な医薬品の特許の有効性と、医療関連行為に関する医師の特許侵害を初めて認めた画期的な判決だ」とするコメントを出した。 
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