熊本市電の追突事故、レールに油でブレーキ利かず? 乗客ら7人重軽傷

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2025年03月25日 20:27  毎日新聞

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事故を起こした熊本市電の車両=熊本市中央区で2025年3月25日午前10時7分、野呂賢治撮影

 25日午前8時半ごろ、熊本市の路面電車「熊本市電」の「熊本城・市役所前」電停(同市中央区)で、停車中の先行車両(乗客26人)に後続車両(乗客31人)が追突した。市交通局や熊本県警によると、いずれも1両編成で、先行車両の40代の男性運転士1人と後続車両の乗客6人の計7人が重軽傷を負って救急搬送された。現場付近のレールに油のようなものが付着しており、滑ってブレーキが利かなかった可能性があるとみて県警などが事故の原因を調べている。


 市交通局によると、乗客6人は20〜50代の男女。このうち50代女性と30代男性が胸などを骨折した。


 後続車両の運転士は当時、100メートル手前を時速約30キロで走行中に先行車両を確認し、50メートル手前でブレーキ操作を開始。しかし、速度が十分に落ちず、緊急ブレーキも使ったが時速17キロで追突した。通常ならば停止可能な速度だという。ただ、100メートル以内に接近した際は15キロ以下に減速するとした内規には違反していた。事故の影響で両車両の前照灯が破損し、一部の塗装もはがれた。


 現場手前のレールには約60メートルにわたって油のようなものが付着していた。事故以前に車両から漏れたブレーキの潤滑油とみられ、後続車両は車輪が滑って追突した可能性がある。


 先行車両は市交通局の車両で最も古く、1951年の製造から74年が経過し老朽化していた。後続車両も57年製だった。ただ、後続車両は今月13日、先行車両は24日に定期点検し、25日朝の点検でも異常は確認されなかった。市交通局は事故後、市電の全線で一時運転を停止し緊急点検した。


 市交通局から重大事故として報告を受けた国土交通省九州運輸局は25日、早急に原因を究明し、必要な再発防止策を講じるよう市交通局に警告した。国の運輸安全委員会は25日、鉄道事故調査官2人を現地に派遣した。


 熊本市電では2024年に脱線や信号無視など16件の運行トラブルが相次いだ。市役所を訪れていた同市中央区の女性看護師(51)は「もう少し早く家を出ていれば自分が乗っていたかも。トラブルが多く、乗るのが怖くなる」と困惑していた。【中村敦茂】



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  • ブレーキに潤滑油?潤滑しちゃダメだろ? 作動用フルードじゃ無いの?
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