二転三転のトランプ関税 スマホも対象へ 不透明感増し…注目は「金」 したたかな中国 反米ムード抑制か【news23】

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2025年04月15日 15:33  TBS NEWS DIG

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世界を翻弄している“トランプ関税”。スマートフォンなどの電子機器について、対象から除外するとしていましたが、一転、新たな関税を設けることを明らかにしました。

【写真で見る】なぜ健康なのか?と問われ、「アメリカを偉大にしていると思うと気分が良い」と答えたトランプ大統領

二転三転の“トランプ関税” 混乱続く

世界経済を混乱させているトランプ大統領。
今月13日に明らかにしたのは11日に受けた自らの健康診断の結果でした。

トランプ大統領
「良い結果だった。数値も完璧」

Q.なぜそんな健康なんですか?

トランプ大統領
「やっていることは楽しいし結果も良い。アメリカを偉大にしていると思うと気分がいい」

ただ、肝いりの関税政策は二転三転しています。

貿易赤字の解消などを理由に、日本への24%を含む60の国と地域に課すとした「相互関税」。

しかし発動初日の9日、各国一律の10%を除く上乗せ分の関税について、90日間、適用を”延期”すると表明しました。

一方、125%の報復関税で応戦した中国には関税率を145%に引き上げるとしたものの、大半を中国で製造する「iPhone」の価格高騰などへの懸念が噴出。

アメリカの関税当局は11日、半導体やスマートフォンについて”相互関税”の対象から除外すると通知しました。 

しかし、トランプ氏はSNSで「相互関税に例外はない」と述べ、”除外したわけではない”と強調したうえで、今回新たに「スマートフォンなどの電子機器を対象にした新たな関税を来週中にも発表する」と明らかにしました。

トランプ大統領
「近く発表する。我々で検討するし、企業とも話すが、ある程度の柔軟性は見せないと」

 Q.製品によっては柔軟に対応?

トランプ大統領
「恐らくは」

この新たな関税について、ラトニック商務長官は「分野別に課す関税の一つで『恐らく1〜2か月の間に導入される』」と説明しています。

影響は“金”の価格にも 

目まぐるしく変わる”トランプ関税”。
経済の先行きに不透明感が高まる中、注目されているのが“金”です。

都内にある金の買い取り会社を取材しました。
 

ゴールドプラザ 川崎拓 鑑定士
「ここ3日ほどで買い取りさせていただいた金の品物の一部をここにお持ちしています。特に今ならインゴットと言われている金の延べ棒の持ち込みが多数増えている」

なぜ金の持ち込みが増えているのか…

ゴールドプラザ 川崎拓 鑑定士
「ちょうど1kgの金の延べ棒で、本日の価格でだいたい1620万円の買取価格」

金の価格は上がり続けているといいます。

金販売大手「田中貴金属工業」の金の店頭小売価格は1万円超えの高い水準で推移していましたが、トランプ大統領が就任した今年はさらに高騰しています。

ゴールドプラザ 川崎拓 鑑定士
「1日だいたい50円の幅でしか変動しないのが金の価格だが、これが毎日のように100円、200円、下手すると700円動いている。いま急激に上がっている段階なので、その分急激に下がる可能性も十分にある」

金高騰の背景には、関税をめぐるアメリカと中国の対立があるといいます。

ゴールドプラザ 川崎拓 鑑定士
「米中の貿易摩擦が結構大きくなっていて、先行きが不透明になっているなか、実物資産でありお金の側面も持つ“金”に投資が集まっているような状態」

米中貿易摩擦 焼き肉店でも“やり返し”?

アメリカから「145%」もの関税をかけられている中国の習近平国家主席。

14日からベトナム、マレーシア、カンボジアの東南アジア3か国の歴訪を始めました。いずれも高い関税をかけられている国々です。

今回の訪問は、3か国と結束してアメリカに対抗する姿勢をアピールする狙いがあります。

中国外務省の報道官は…

中国外務省 林剣報道官
「事実が証明しているように、関税戦争や貿易戦争には勝者がいなく、保護主義には出口はない」

しかし、中国国内では“ある現象”が…。

武漢市の焼き肉店にはこんな看板が掲げられてました。

「アメリカ人のお客様には、今後104%のサービス料をいただきます。ご不明な点は、アメリカ大使館までお問い合わせください」

アメリカが当初、表明していた「相互関税」の税率、104%を揶揄したものです。 

さらに通販サイトでは、「相互関税戦争 参戦記念」と書かれたマグカップが次々と出品されていました。しかし…

記者
「数日前まで出品されていた商品が、検索するとすべてなくなってしまっています」

 関連する商品は一斉に削除される事態に。当局が反米ムードが過熱することを抑えたものとみられます。

揺れる世界経済 問われる日本の立ち回り

中国の対応のしたたかさが際立つ中、日本の国会では「トランプ関税」をテーマに集中審議が行われ、政府の交渉戦略などについて野党が追及しました。

立憲民主党 野田佳彦代表
「アメリカファーストと言って、いまアメリカアローンになっている。アローンにならないように、日本はもっと引っ張り込んでいく努力が必要じゃないか」

石破総理
「その通りです。ただ私どもは、トランプ大統領が『日本の言うことなら聞こう』と、そういうような考えになるようにする努力はしていかねばならない。それはすり寄るとか媚びるとかいう話ではない」

アメリカ側との交渉役を任されているのが、石破総理と選挙区が同じ鳥取県で、最側近といわれる赤沢経済再生担当大臣です。

赤沢亮正 経済再生担当大臣
「(アメリカ側は)本当にコロコロ変わるところがあって、その時々で有効なカードとかいろいろなものが変わっていく。何が最も効果的かを考え抜いて、最優先かつ全力で取り組んでいきたい」

赤沢大臣は、16日から渡米し、17日に米・ベッセント財務長官らとの協議に臨みます。

17日の日米協議 アメリカの狙いはどこに

小川彩佳キャスター:
私たちもお伝えする情報が次々と覆されるという事態になってしまっていますが、この事態はどうして起きているんでしょうか。 

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
実際、トランプ政権の中で、ある種の綱引きが続いていると見ていいと思います。

ウォール街の財界に推されているベッセント財務長官と、トランプ氏の熱狂的な支持者に推されているラトニック商務長官が綱引きを続けていて、今のところベッセント財務長官の主導で動いているが、トランプ氏は時々ラトニック商務長官の肩を持っているような状況です。

これにより政策が揺れ動いてくるので、日本側としては、どの辺が政権の本音なのかというのを時間をかけて見極めていくということが必要だと思います。

小川キャスター:
その日本側のカウンターパートになる赤沢大臣は、どのような人物なのでしょうか。

星浩さん:
赤沢氏はずっと石破氏の側近中の側近で、元々運輸省、現在の国土交通省の官僚出身なので非常に手堅いところはあると思います。

今回も外務省・経産省・財務省の高官を束ねてアメリカに赴くのですが、今のところ農水省の高官が含まれていない点が気になります。

日本側としては、農作物の市場開放には今のところ応じる気はないという意思表示だと見ていいと思います。

藤森祥平キャスター:
既にアメリカ側は「日本はアメリカのコメに700%の関税をかけている」と言っていますが、大丈夫ですか。

星浩さん:
今、その辺を日本側が相当調べています。

トランプ氏はどうもコメの解放にはあまり関心がなさそうだというのが面白い点です。

アメリカで主にコメを作っているのはカリフォルニアで、カリフォルニアはトランプ氏の天敵である民主党の牙城ですから、あまりコメについてはこだわらないという姿勢のようです。

藤森キャスター:
何を狙っているんですか。

星浩さん:
おそらく、日本がいま第1列目の交渉者なので、日本から譲歩を引き出すことで、各国に対して「日本はここまで譲歩した」というシンボリックなものをいま探してる最中だと思います。

おそらく自動車や小麦など、アメリカにとってプラスになるものを探しているはずです。

今回の赤沢氏の訪米における最大のミッションは、アメリカの本音がどの辺にあるのかというのを見極めることになると思います。

藤森キャスター:
逆に日本側はこの交渉で何を狙っているんですか。

星浩さん:
日本側は下手に譲歩してしまうと、各国に対するアピール材料にされてしまうので、慎重に対応する必要があると思います。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身

このニュースに関するつぶやき

  • 中国政府が米国債を売って金を買っているということかな?トランプ政権は市場をコントロールできているつもりかも知れないが、そううまくいくかなあ?
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