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日産自動車(以下、日産)は5月13日、決算説明会で新たな経営再建計画「Re:Nissan(リ・ニッサン)」を打ち出した。7工場の閉鎖や発表済みの9000人削減を含む2万人の人員削減など、痛みを伴う計画となった。
日産のイヴァン・エスピノーサ社長兼CEOは「固定費が現在の売上高で賄えない水準で高止まりしている。販売に頼らず収益を確保できる体制を目指す」として、2026年度までに24年度比で5000億円のコストを削減し、黒字化を目指す。
その一環として、27年度までに世界にある車両工場を現在の17カ所から10カ所へ減らし、稼働率を100%に引き上げる。閉鎖・統合する7工場については「どこの拠点が対象かは話せない。ただ国内(の工場)も候補に入っている」という。
北九州市で計画していたEV用のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの新工場は建設断念を決定した。「われわれは厳しい目で(経営状態を)精査し、より多くのことを、スピード感を持って進めなければならないと分かった。バッテリー工場の建設断念は、その一つの証左だ」。
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●市場ごとのパートナーシップ
コスト削減の一方で、日産は複数のパートナー企業の力を借り、市場ごとの特性に合わせた商品戦略を展開する。例えば欧州ではルノーとOEM生産などで車種を拡充し、日本では三菱自動車と共同でEVを含む軽自動車の開発と生産を進めるなど、主要市場ごとのコアセグメントに注力する。ホンダとの協業についても「自動車の知能化・電動化における戦略的パートナーシップ」の枠組みで連携を強化するとしている。
こうした選択と集中により、日産の生産能力は27年度に250万台となる見通し。車輌のプラットフォームは現在の13から7に減らして開発負荷の低減も図る。
エスピノーサ社長は「非常に悲しく痛みを伴う決定だった。しかし今、手を打たなければ悪化するだけだ」として再建計画を進める意思を示した。
同日発表した2024年度3月期通期連結決算(24年4月〜25年3月)は、売上高が前年比0.4%減の12兆6332億円、営業利益は前年比87.7%減の698億円、純利益は6709億円の赤字となった。販売減に加え、原材料価格の高騰が利益を圧迫した。
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