記者団の取材に応じる立憲民主党の野田佳彦代表=27日、東京都立川市 自民、公明、立憲民主3党党首は27日、年金制度改革関連法案の修正で合意した。少数与党下で野党の足並みを重視してきた立民の野田佳彦代表。一転して与党との調整を急ぎ、「置き去り」になった日本維新の会や国民民主党は不満を募らせる。両党からは立民が内閣不信任決議案の提出を見送るとの観測も出ており、参院選を見据え成果を競う野党間の不協和音は高まっている。
27日の会談で、3党首は基礎年金の将来的な底上げを可能にする法案修正の合意書に署名。この後、野田氏は記者団に「先送りせずに決める政治を実現したい。党の手柄というよりも国家国民のためだ」と強調した。
立民は今国会で、野党間の連携に重きを置いてきた。「数の力」で政策実現を迫れば少数与党に対する圧力になると踏み、維新とは企業・団体献金禁止法案を、国民民主とはガソリン税暫定税率廃止法案をそれぞれ共同提出した。
しかし、こうした共同歩調は実を結ばず、立民は年金法案の修正で路線を転換した。国会会期末が来月22日に迫る中、政府が年金法案を提出したのは16日。立民は審議時間も考慮し、野党共闘を脇に置いて与党との協議に的を絞った。
参院選や東京都議選を控え、今国会での成果に乏しい立民には背に腹は代えられない事情も見え隠れする。ある幹部は「一つくらいは与党とまとめてもいいではないか」と本音を漏らす。
比較第1党、2党による合意によって、維新・国民民主内では存在感低下への危機感が高まりそうだ。国民民主の玉木雄一郎代表は27日の会見で、修正内容を実現する財源が明示されていないと問題視し、「極めて拙速でプロセスが不透明だ」と批判。維新も年金改革は重要政策だとして与野党による協議体での検討を提唱している。
維新の前原誠司共同代表、玉木氏は内閣不信任案提出を促す発言をしているが、野田氏は27日の党首会談後も「総合的に判断する」と述べるにとどめた。国民民主幹部は「不信任案を出さないための合意ではないか」と不信感を示し、維新幹部は「これで立民は不信任案を出せない」と指摘した。

記者会見する国民民主党の玉木雄一郎代表=27日、国会内