衆院の築山信彦事務総長(中央右)に選択的夫婦別姓制度導入法案を提出する国民民主党の円より子氏(同左)ら=28日午後、国会内 自民党の坂本哲志、立憲民主党の笠浩史両国対委員長は28日、国会近くで会談し、選択的夫婦別姓制度を巡り野党が提出した法案について、30日の衆院法務委員会で審議入りすることで一致した。国民民主党は28日、独自の別姓法案を提出した。自民は今国会への関連法案提出を見送る方針で、いずれの法案も成立しない公算が大きい。
衆院事務局によると、同委で選択的夫婦別姓の導入法案が審議されるのは、旧民主党の提出を受けた1997年以来28年ぶりとなる。
国民民主の法案は、婚姻時に戸籍の筆頭者を決め、子どもの姓は筆頭者に合わせることが柱。浜口誠政調会長は提出後、記者団に「社会的な不利益を防がなければいけない。われわれの法案は保守層にも納得していただける」として、自民を含む各党に賛同を呼び掛ける考えを示した。
立民の法案は別姓を選ぶ夫婦は婚姻時に子どもの姓を定めると規定。日本維新の会は旧姓の通称使用を拡大する法案を提出している。立民と国民民主は別姓推進の立場だが、夏の参院選への思惑も絡んで足並みはそろっていない。
一方、自民は28日、別姓の是非を議論する作業部会を党本部で開催した。逢沢一郎座長が審議入りに備え、党の「基本的考え方」の修正案を提示。慎重派の意見を踏まえ「旧氏の単独使用を可能とする基盤整備」を「旧氏の単記を可能とする基盤整備」とした。
だが、別姓推進派が「われわれの思いが反映されていない」などと反発。慎重派を含め、執行部が野党案に反対する党議拘束を検討していることにも異論が相次いだが、逢沢氏が押し切って事実上の一任を取り付けた。逢沢氏は党議拘束について執行部の判断に委ねる考えを示した。

衆院法務委員会理事会に臨む与野党の理事ら=28日、国会内