珍しい「クロックバースター」=周期的に爆発、X線発生する連星―超小型衛星で観測・理研など

13

2025年05月31日 14:01  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

超小型天文衛星「ニンジャサット」で観測した連星「クロックバースター」の想像図。恒星(右)からヘリウムガスが中性子星に流れ込み、時計で計ったように規則正しく爆発してX線が発生する(理化学研究所、高橋壮一氏提供)
 時計で計ったように規則正しく爆発を繰り返し、X線を発生する「クロックバースター」と呼ばれる連星の一種を観測したところ、恒星から中性子星に流れ込むヘリウムガスが爆発の燃料となる珍しいタイプだと分かった。理化学研究所や東京理科大などの研究チームが31日までに、超小型天文衛星「ニンジャサット」による成果として日本天文学会の英文誌に発表した。

 ニンジャサットはアタッシェケースほどの大きさしかなく、重さ約8キロ。理研がX線検出器と放射線帯モニターを開発し、リトアニアの新興宇宙企業「ナノアビオニクス」が製作した衛星本体に搭載して、米スペースX社のロケットで2023年に打ち上げた。

 製造と打ち上げ費用の総額は約1億円と、大型天文衛星に比べて格安。国内外の研究チームと観測時間を分け合う必要もなく、自由に使える。

 理研の玉川徹主任研究員は「今回のクロックバースターは昨年2月に科学観測を始める直前に発見された。当初の計画を全部キャンセルして25日間も連続観測できたため成果を得られた」と説明。ニンジャサットは今年7月末ごろに大気圏に突入して消滅する見通しだが、「2号機を検討したい。臨機応変な観測と高い費用対効果で宇宙科学観測が変わり、若手研究者も育成できる」と話している。

 このクロックバースターはコンパス座の方向に約3万3000光年離れた所にある。中性子星は大きな恒星が寿命を迎え、超新星爆発を起こした後に残る高密度天体で、質量は太陽の約2倍と、理論的な限界に近い。別の恒星と重力で結び付いて連星となっており、恒星から流れ込むガスを燃料として核融合の爆発を規則正しく起こし、強いX線が発生する。

 観測の結果、約1時間40分おきに届くX線は20秒程度と、過去に発見されたクロックバースターの40秒程度より短かった。このため燃料は核融合が長く続く水素ではなく、ヘリウムが多いと判明。かつては恒星の質量も太陽の2倍強あったが、外層の水素を剥ぎ取られて内部のヘリウムが流出する状態となり、4分の1に減ったと推定された。 

理化学研究所がX線検出器などを開発し、リトアニアの新興宇宙企業「ナノアビオニクス」が製作した本体に搭載された超小型天文衛星「ニンジャサット」(左の平たい箱)(同社提供)
理化学研究所がX線検出器などを開発し、リトアニアの新興宇宙企業「ナノアビオニクス」が製作した本体に搭載された超小型天文衛星「ニンジャサット」(左の平たい箱)(同社提供)

このニュースに関するつぶやき

  • 毎度思うんだが、報道するならプレスリリースのURLか、doiぐらい書いてほしいもんだ>doi/10.1093/pasj/psaf003 doi/10.1093/pasj/psae117
    • イイネ!2
    • コメント 3件

つぶやき一覧へ(7件)

前日のランキングへ

ニュース設定