限定公開( 3 )
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京)が、警察庁が集めた個人情報ファイルの目録文書の開示を国に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は3日、一部を不開示とした2審・東京高裁判決(2023年5月)を破棄し、審理を高裁に差し戻した。裁判官5人全員一致の意見。
2審判決は、目録にある備考欄の内容を不開示とした警察庁の判断をそのまま是認したが、小法廷は開示範囲が合理的か検討を尽くしていないと指摘。高裁で再検討するよう求めた。裁判所が行政に理由を聞かないまま、行政文書の開示範囲を狭めることに注意を促す形となった。
警察庁は「DNA型」など捜査対象者らの個人情報をファイルとして保有している。クリアリングハウスは16年5月、ファイルそのものではなく、ファイルごとの利用目的や保存場所などを目録にした文書の情報公開を請求した。
警察庁は、ファイルが約120種類あることを明らかにし、各目録に記載されている「利用の目的」など10項目の名称は開示したが、それ以外は「犯罪の予防や捜査に支障が出る」として開示しなかった。1、2審判決は一部開示を命じたものの、不開示部分が残った。
上告審では備考欄の内容の開示の是非が争われた。小法廷は「情報公開法は行政文書に記録された情報を原則として公開すべきだとしている」と指摘。一体的に黒塗りとした国に対し、より細かい項目に分けられないか説明を求めなかった2審判決には「明らかな違法がある」と判断した。
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判決後に記者会見したクリアリングハウスの三木由希子理事長は「不開示としてよいかを裁判所はより細かい情報ごとに判断すべきだとしており、評価できる。行政機関は裁判前の開示請求段階で、不開示の範囲を限定的にする運用にしてほしい」と話した。【巽賢司、安達恒太郎】
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