10年の不妊治療の末に授かった双子 出産した夜、母は心肺停止に 子宮全摘・5度の手術の末…目を覚ましたのは1週間後 家族の支えがつないだ“奇跡”

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2025年06月21日 07:40  まいどなニュース

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10年の不妊治療の末、命懸けの出産を経験することになった渡辺さん/渡辺さん(@beteran_funin_chiryo)提供

長年の不妊治療の末に妊娠・出産を果たした女性が、出産直後に容体が急変し心肺停止に陥るという事態に見舞われました。10年間の治療を支え合ってきた夫婦と家族の絆、そして命の回復を信じ続けた日々に、多くの反響が寄せられています。

【写真】5度の手術を乗り越えて…目を覚ました渡辺さん「大切な人たちにまた会えてよかった」

Instagramで不妊治療の体験を記録してきた渡辺さん(@beteran_funin_chiryo)が、2024年3月に顕微授精の陽性判定を報告。授かったのは双子でした。エコーや胎動の報告が続く中、ある投稿が注目を集めます。

出産当日の2024年10月10日、双子の女の子を帝王切開で出産。しかしその夜、容体が急変し、子宮からの大量出血による出血性ショックで一時心肺停止に。翌日には大学病院へ転院し、子宮全摘出を含む5度の手術が行われました。意識が戻ったのは出産から1週間後の10月17日でした。

その壮絶な経験が、Instagramで公開されると、2万件を超える“いいね”とともに「出産は命がけだということを実感した」「感動して涙が止まらなかった」など、共感の声が広がりました。

20代の終わり頃から始めた不妊治療

渡辺さん夫婦が不妊治療を始めたのは、20代の終わり頃。

「子どもは自然に授かれるもの、普通に妊娠できるものだと思っていました。出産は幸せなことだけど、大変で物凄く痛いものなんだろうな…と漠然と思っていましたね」(渡辺さん)

30代後半になってからもなかなか子どもを授かれない日々が続きますが、それでも毎回の治療でわずかな可能性に賭け、渡辺さん夫婦は諦めませんでした。

「不妊治療の苦労は多岐にわたりますが、特に辛かったことは6回の着床後、初めて心拍が確認できてやっと希望がみえたと思ったのにダメになってしまった1回目の流産です」(渡辺さん)

治療に注ぎ込んだ時間と資金はあっという間になくなっていき、一時は「残された凍結卵はわずか4個」という厳しい状況にもなりました。

「なかなか自分たちと相性の良い病院と出合えず何度か転院をしていたのですが、3度目に転院した病院で“この先生なら!”と思えるような、信頼できる先生に出会えた時はもの凄く励みになりました。気持ちの面だけでなく、今まででは考えられない数の採卵が取れた時は、“この先生と頑張ろう!”とさらに思えましたね」(渡辺さん)

また旦那さんは、子宮に効くツボ押しやエストラーナテープ(ホルモン補充の貼り薬)の貼り替えなど、「これだけは俺にやらせて」と自分にできることを必死に探し、サポートしてくれたと言います。

そんなある日、渡辺さんはついに病院で「陽性」の診断結果を受けます。

「何度やっても結果がでない移植の中、先生からの提案で途中から2個移植に切り替えたのですが、やっぱり結果は変わりませんでした。正直、もう妊娠は難しいだろうな…と思いながら治療をしていたところに“双子”という結果だったんです。リスクを考えると不安はありましたが、率直に“本当に?!嘘でしょ?!”と、凄くビックリして信じられませんでしたね」(渡辺さん)

双子と診断を受けた渡辺さん夫婦が何よりも嬉しかったのは、子どもたちに“きょうだい”という存在をつくってあげられることだったそうです。

「私には姉が1人、夫には3人の兄がいて、さらに夫は双子なんです!私も夫も“きょうだい”という存在がどれだけ尊いものかわかっているからこそ、“きょうだいをつくってあげられるの?!”と、なおさら嬉しくてたまりませんでした」(渡辺さん)

 双子の誕生と生死の境界線

2024年10月10日、ついに双子が誕生しました。長女1850g、次女2066g。しかし、喜びと同時に試練も訪れました。

出産後、渡辺さんの容体が急変。子宮筋腫、妊娠高血圧症候群、帝王切開の複合的要因により、子宮からの大量出血が止まりません。最初の病院では止血できず、大量輸血を受けながら大学病院へ緊急転院となりました。

「出産前後のことはまったく記憶がありません。意識がない間、夫は仕事をしながら毎日双子の入院する病院と私が入院中の病院を行き来し、様々な手続きも一人でこなし、本当によく頑張ってくれたと思います。心から感謝していますね」(渡辺さん)

また、お姉さんのサポートも印象的だったと渡辺さんは話します。

「姉は自分も子どもがいるなか、何時間もかけて寝ているだけの私の見舞いに通ってくれました。なかなかそばにはいられなかった両親のために、姉が私の様子を写真や動画で撮影し、『今日は顔色が良い』『浮腫が取れた』などと状況を伝えてくれていたんです。みんなが私の回復を信じて支えてくれたことに、心から“ありがとう”を伝えたいです」(渡辺さん)

生死の境界線を超えて目覚めた渡辺さん。髪は乱れ、体は浮腫み、まだ完全には回復していなかったものの、双子と対面した時のことを「やっと会えて、ただ嬉しかった。“ありがとう”の気持ちでいっぱいでした」と振り返ります。

現在、渡辺さん一家は幸せな時間を過ごしています。先日、治療中によく夫婦で訪れていた遊園地のイルミネーションを双子と一緒に見に行ったそうです。

「諦めそうになった頃には想像もできなかった光景。長く辛い治療だったけど頑張ってきて良かったね、と夫と幸せを嚙み締めました」(渡辺さん)

渡辺さんは不妊治療を検討している人へこうメッセージを送ります。

「治療中は妊娠や子どもの話に敏感になり、取り残されたような気持ちになることもあるでしょう。でも自分を責めず、辛い時は治療から距離を置いて心を休めてください。夫婦でよく話し合い、お互いを支え合いながら同じ方向を向いて進んでいくことが大切です」(渡辺さん)

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  • 必ずしも、授かれる訳じゃないです。頑張ったから、でもないです。積み上げてきたことがカタチになっただけ。人それぞれ。
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