人材確保、あの手この手=「民間」意識、新ビジョン策定―警視庁
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2025年06月29日 07:31 時事通信社

首都・東京の治安を守る警視庁では内定辞退が相次ぎ、5年連続で採用予定数を下回る状態が続く。担当部署はライバルでもある民間企業を意識し、あの手この手で人材確保策に取り組んでいる。
同庁受験者数はピークだった2010年度の約3万人から、24年度は8341人と7割以上減少。近年は採用予定数より数百人多めに内定を出すものの、辞退率は4割前後で推移し、採用予定数の1〜2割が足りない状況だ。
同庁は受験者数を増やそうと対策に余念がない。今年度からの試験では、企業で多く採り入れられている適性検査「SPI3」を導入。来年度からは、大学3年生も受けられるよう、春に実施していた1次試験を1月に前倒しして企業と併願しやすい環境を整えた。地方公務員の中でもトップクラスの「大卒初任給30万円」もアピールポイントとなっている。
内定辞退をどう食い止めるかも課題だ。新人警察官を最初に受け入れる警察学校では、校内の雰囲気を知ってもらおうと、内定者を体育祭に招いて在校生と一緒に競技したり、一日体験入校を開催したりしている。担当者は「入校前の段階で疑問や不安を話してもらい、『学校はきつい』といったイメージを払拭したい」と話す。
将来的に警察官の減少も見込まれることから、同庁は昨年12月に「組織運営ビジョン」を新たに策定。人工知能(AI)技術の活用などで「マンパワーのみに依存しない体制構築」を進めるとした。4月には電機大手NEC社員を2年間の任期付きでサイバー犯罪対策課警部として採用するなど、専門性や経験を重視した採用も積極的に行っている。
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