再生医療計画、受理に地域差=関東は即日、近畿は不受理の例も―厚労省は「共通マニュアル」主張

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2025年07月17日 07:34  時事通信社

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時事通信社

再生医療安全性確保法に基づく書類を申請するサイトの画像(厚生労働省のホームページより)
 病気やけがで機能不全になった組織や臓器を元に戻す「再生医療」を行う医療機関が治療前に作成する提供計画について、地方厚生局の受理判断に地域差があることが16日、関係者などへの取材で分かった。厚生労働省は「受理事務は共通したマニュアルで実施している」としているが、関東厚生局で即日受理されたものが、近畿厚生局で不受理になった例があり、専門家は「基準を統一すべきだ」と指摘する。

 再生医療安全性確保法は、医療機関に対し「再生医療等提供計画」の作成を義務付けている。安全性を審査する委員会に提出し、承認を得られたら管轄の地方厚生局に届け出る。厚生局は書類の不備などを確認し、受理されると患者への医療提供が始まる。

 ある医療法人では、幹細胞を用いた再生医療計画を委員会の審査を経て、1月下旬に近畿厚生局に提出。2月中旬に根拠となる論文の追加添付などを指摘された。その後、修正や委員会の再審査が繰り返され、5月には同局から「治療段階として認められない」として不受理になった。

 一方、同じ内容で別の医療法人が3月末に計画書を出した関東厚生局は即日で受理。近畿厚生局に関東で受理されたことを伝えたが、不受理は覆らなかった。両医療法人の経営者は「近畿厚生局の対応は、審査機関ではない厚生局が内容の変更を強制しており越権行為だ」と主張し、国家賠償請求訴訟を起こす方針という。

 厚労省は取材に「受理は共通マニュアルに基づき実施している」とする一方、「個別具体的な事案は承知していない」と回答した。関東厚生局は「局ごとのやり方や方針があり、担当者の人数や経験年数の違いもある」と説明。近畿厚生局は受理判断について「2週間以内に不備や修正を指摘するように努めているが、期間は医療機関によってさまざまだ」と話した。

 委員会で提供計画を審査した経験を持つ医師は「同じ内容で関東で受理、近畿で不受理というのは振り幅が広すぎる。基準を統一すべきだ」と指摘した。 

このニュースに関するつぶやき

  • 基準よりも、審査員という人がいるだろうから、その関係もあるのでは?。厚生局というよりも審査する構成メンバーの考えの違いがあるのではないかと思ったり。
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