演説する高市早苗前経済安全保障担当相=14日、千葉県柏市 石破茂首相(自民党総裁)の退陣は不可避との見方が広がる中、党内で「ポスト石破」候補の動きが活発化してきた。高市早苗元政調会長と茂木敏充前幹事長は実力者と会談し、近しい議員と対応を協議。小泉進次郎農林水産相らも総裁選を視野に虎視眈々(たんたん)と情勢をうかがう。
高市氏は23日、山田宏参院議員ら自身に近い議員10人余りと東京・赤坂の衆院議員宿舎で会談。党内唯一の派閥を率いる麻生太郎最高顧問と面会した。
高市氏は昨年9月の総裁選で、1回目の投票で1位になりながら、決選投票で首相に敗れた経緯がある。初の「女性宰相」への思いは強く、参院選投開票を2日後に控えた18日、地元・奈良県で「私なりに腹をくくった」と意欲をにじませた。
ただ、表向きは党内で拡大する「石破降ろし」の動きとは一線を画す。麻生氏との面会について「台湾の話」と周辺をけむに巻き、側近は宿舎の会合に関し「高市氏は来なかった」とうそぶく。総裁選をにらみ、突出した動きで反発を招かないよう神経をとがらせているようだ。
これに対し、茂木氏は精力的だ。気脈を通じる麻生氏と21日に会談。24日には旧茂木派の若手数人と会食し、「主流派を目指す」と宣言した。同派は両院議員総会開催に向けた署名集めで中心的な役割を担っており、茂木氏が会長を務める栃木県連は首相に退任を要求した。党内には「やり過ぎだ」(閣僚経験者)と眉をひそめる向きもある。
一方、小泉氏は石破内閣の一員のためか、目立った動きは控えている。だが、あるベテランから「重責を担う覚悟をした方がいい」と伝えられると、「近く相談させてほしい」と応じた。25日には昨年の総裁選に出馬した思いを記者団から問われ、「とてつもない速度と強度で世界が動き、去年以上に危機感は強い」と力を込めた。
石破首相を支える立場の林芳正官房長官も21日、旧岸田派の小野寺五典政調会長ら幹部数人と会食。22日には同派会長を務めた岸田文雄前首相を事務所に訪ねた。関係者によると、石破政権発足後で初めてだったという。

衆院選の街頭演説をする自民党の茂木敏充前幹事長(右)=2024年10月、千葉県習志野市

東京選挙区の自民党候補・武見敬三氏の応援演説をする小泉進次郎農林水産相=19日、東京都中央区