カムチャツカ半島付近を震源とする地震の影響による津波警報から一夜が明けた31日、各地で日常が戻る一方、影響も残った。
震源に近い北海道東部の根室市。80センチの津波を観測した花咲港で31日朝、津波の襲来に備えて閉門されていた防潮堤が開門され、一部の漁が再開した。市内の2漁協では競りも行われ、水揚げされたマダラなどが次々に競り落とされた。
一方、津波の影響で延期された「北方領土洋上慰霊」は中止に。関係者約40人が船の出港を期待し、根室港に集まったが「津波注意報が続く間は岸壁に接岸できない」と知らされた。
代わりに慰霊式が行われ、国後島の元島民2世で千島歯舞諸島居住者連盟の野潟龍彦副理事長(73)は「一日も早くお墓参りができることを願ってやみません」と追悼の辞を述べ、古里の島々に眠る御霊(みたま)に献花した。
関西有数の行楽地、和歌山県白浜町では、津波注意報が解除された31日午前、白良浜(しららはま)海水浴場などで遊泳を再開。早速、国内外の観光客らでにぎわった。
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町の担当者は「例年と比べても、通常通りの様子に戻っている。8月に花火大会もあるので多くの人に楽しんでほしい」と話した。
対照的だったのは、神奈川県藤沢市の片瀬西浜海水浴場。例年この時期は海水浴客でにぎわうが、31日は遊泳禁止が解かれた後も、人の姿はまばら。東京都内から小学生の息子と訪れた女性(37)は「注意報の解除を確認して来たが、やはり影響が残っているのでは」と困惑した様子で、海の家で働く渡邊雄馬さん(23)は「早く『普段の夏』に戻ってほしい」と願った。
近くの新江ノ島水族館によると、30日は数百人が館内に避難したという。
各地の避難所は閉鎖が相次いだ。宮城県名取市が県の複合施設「まなウェルみやぎ」に開設した避難所もその一つ。最大時469人が避難し、4人が一晩を過ごしたが、31日朝までに全員が帰途についた。市の担当者は「熱中症などの傷病者が出ずほっとしている」と振り返った。【本間浩昭、芝村侑美、澤圭一郎、近藤綾加】
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