爆心地付近を流れる川近くで急きょ実施された「万灯流し」=9日午後、長崎市 長崎市松山町の爆心地公園周辺では9日夜、原爆犠牲者を悼み、平和を祈願する「万灯流し」が行われた。雨予報のため中止が決まっていたが、「小規模でも開催を」との声が上がり、灯籠を川に流さず、川べりの階段に約200個を並べる形で実施された。
灯籠を眺めていた英国の研究者クリス・フッドさん(54)は「被爆者の声を直接聞く機会が少なくなる中、節目の今年来日しようと決めた。この場所で亡くなった人がいたことを忘れないためにも、こういうイベントは大事」と話した。
同夜は浦上天主堂(同市本尾町)からたいまつを手に爆心地公園まで歩く「たいまつ行列」も行われた。原爆で焼け、顔だけが残った「被爆マリア像」を先頭に約1000人が行進した。
参加したさいたま市の大学生柄崎詩乃さん(23)は「多くの人が平和を祈って集まっていることに感動した。共に祈る場所があるのは希望だと思う」と語った。

原爆犠牲者を追悼するため「被爆マリア像」(中央)を担ぎ、浦上天主堂(奥)から爆心地公園へ向かうたいまつ行列=9日午後、長崎市

原爆犠牲者を追悼するため、浦上天主堂から爆心地公園へ向かうたいまつ行列=9日午後、長崎市