初公判に出廷した元参院議員大野泰正被告(右から2人目)と元政策秘書岩田佳子被告(右端)=10日、東京地裁(イラスト・日下部亜留斗氏) 「無罪を主張いたします」。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件の初公判で、元参院議員大野泰正被告(66)は収支報告書への虚偽記載をきっぱり否定した。罪状認否の前には、地元の支援者らに迷惑をかけたことなどについておわびした。
10日午後1時半すぎ、大野被告は濃紺のスーツにストライプのネクタイ姿で法廷に現れた。裁判官と傍聴席の方にそれぞれ頭を下げると、弁護人の隣に座った。
人定質問で裁判長から職業を聞かれ、「無職であります」と答えた。起訴状朗読後に認否を問われると、眼鏡を掛けて手元の紙に目を落とし、「私のレベルでは今回の問題の原点となった派閥のことは分かりません。報道されるまで収支報告書に記載があるのかないのかさえ知りませんでした」と述べた。
元政策秘書の岩田佳子被告(62)も無罪を主張したが、途中で言葉が続かなくなり、「緊張している」と漏らす場面もあった。
検察側の冒頭陳述が始まると、大野被告は口を真一文字に結び、硬い表情。配布された陳述書を目で追い、時折ペンでチェックを付けたり、検察官の方を見たりしながら聞いていた。閉廷後は再び裁判官と傍聴席に一礼し、法廷を後にした。