高市氏、カラー抑制で現実路線演出=自民総裁選、野党親和性アピール

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2025年09月20日 07:31  時事通信社

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時事通信社

自民党総裁選に向けた記者会見で質問に答える高市早苗前経済安全保障担当相=19日午後、国会内
 自民党総裁選の有力候補の一人と目される高市早苗前経済安全保障担当相(64)が19日、立候補を正式に表明した。保守層から支持を集める高市氏だが、記者会見では靖国神社参拝を明言しないなど「高市色」を抑制。決選投票で苦杯をなめた前回の総裁選の反省から「現実路線」を印象付ける狙いとみられるが、奏功するかは見通せない。

 「今、総裁選に立候補している段階だ。国のために命をささげた方への感謝の気持ちは決して変わらない」。高市氏は19日の会見で、首相に就任した場合に靖国神社に参拝するか問われ、こうけむに巻いた。参拝を明言した前回とは対照的だ。

 靖国参拝だけではない。高市氏は5月の党税制調査会の会合で「食料品の消費税率をゼロにすべきだ」と主張していたが、今回の公約には盛り込まなかった。高市氏は会見で「物価高対策として即効性はない」と方針転換の理由を説明した。

 高市氏が自身のカラーを薄めた背景には昨年9月の総裁選の「反省」がある。高市氏はこの時、最多の党員・党友票を獲得してトップに立ったが、決選投票で石破茂首相に競り負けた。「『高市首相』では国政が混乱する」との懸念から国会議員票が石破氏に集まったとの見方が支配的だ。

 今回の総裁選では党内唯一の派閥を率いる麻生太郎最高顧問の動向に注目が集まる。麻生氏は9月の麻生派研修会で「インフレ下で消費税率を下げて消費が増えた例はない」と消費税を巡る立場を重視する考えを示唆しており、高市氏周辺は「麻生氏の意向も考慮した」と漏らす。

 高市氏が代わりに打ち出したのが野党各党の政策。立憲民主党が掲げる「給付付き税額控除」、日本維新の会が重視する「首都の危機管理機能のバックアップ体制構築」、国民民主党がこだわる所得税の課税最低ライン「年収の壁」引き上げ、野党各党が求めるガソリン減税を公約に盛り込んだ。

 与党が衆参両院で過半数割れする中で迎えた今回の総裁選は「野党との連携」が大きな争点。麻生派幹部は「野党と協力できない総裁は選べない」と指摘する。高市氏としては「高市政権になれば野党はそっぽを向く」(旧岸田派幹部)との懸念を払拭する狙いがあるとみられる。

 もっとも、高市氏を有力候補に押し上げてきたのは保守層の期待だ。高市カラーの封印は保守層の離反につながる可能性も否定できない。高市氏は会見で、保守層を意識して「男系の皇統を守る。憲法改正の議論をリードする」と力説したが、こうした訴えが響くかどうかは不透明だ。 

このニュースに関するつぶやき

  • オイオイいいのかそんなことして?せっかく早苗タン早苗タンと持ち上げてくれてたネトウヨの支持が離れていっちゃうぞ??(嗤)
    • イイネ!1
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