2022年、刑務官による暴行が発覚した愛知県みよし市の名古屋刑務所 法務省は全国の刑務所などで勤務する全ての刑務官に6桁の識別番号を割り振り、制服に表示する運用を始めた。受刑者が職員を特定できるようにすることで、暴行などの不適切な処遇を未然に防ぐ狙いがある。
鈴木馨祐法相が3月、服装に関する規則を改正する訓令を出し、制服は4月以降に順次更新された。右胸の階級章の上に識別番号を表示することを義務付けた。
刑務官はこれまで名札を着用していなかった。出所後の報復を避けるためだが、不適切な行為を受刑者が訴えても関与した職員が分からず、調査や再発防止の障害となってきた。
識別番号制度は、2022年に名古屋刑務所で刑務官が受刑者に暴行を繰り返していた問題がきっかけ。外部有識者による第三者委員会が23年6月、刑務官を見分けられる「識別票」の導入や、閉鎖的な組織風土の是正を提言した。番号導入によって、受刑者が安心して通報できる環境を整え、刑務官側の自律的な行動改善を促す。
法務省は24年4月から、受刑者を呼ぶ際に呼び捨てを廃止し、「さん」「君」を付けるルールを導入した。今回の識別番号制度と併せ、刑務所の処遇改善を進めるとしている。