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新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、国と製薬会社との契約内容を記した文書を全面不開示とした厚生労働省の決定は違法だとして、名古屋市の一般財団法人が取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は9日、決定を取り消した。品田幸男裁判長は、全面不開示を違法とした上で、文書を合理的な範囲に区切り、その範囲ごとに開示できるか判断するよう厚労省に求めた。
判決によると、国は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、製薬会社とワクチン供給に関する契約を結んだ。健康・医療問題を研究する一般財団法人「LHS研究所」は2023年1月、厚労省にワクチンの購入契約書の開示を求めた。国は「公にすると製薬会社の正当な利益を害する恐れがある」として、ファイザーやモデルナなど4社と交わした文書を全面不開示とした。
判決はまず、情報公開法では、開示請求された文書の中に不開示とする情報が含まれていても、その部分を除いて公開するのが原則だと指摘。ワクチンの契約書では他国の事例などから、一定の内容ごとに合理的な範囲で区切った上で、開示するかどうかを検討することは可能だとした。開示により製薬会社などの利益を害する情報が必ず推測されるとは考えがたく、全てを不開示とするのは違法と結論づけた。
厚労省は「判決の内容を確認し、関係省庁と協議の上、対応を検討する」とコメントした。【安達恒太郎】
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