91歳の誕生日を前に写真撮影に臨まれる上皇后さま=9日、東京都港区の仙洞御所(宮内庁提供) 上皇后さまは20日、91歳の誕生日を迎えられた。昨年10月に右大腿(だいたい)骨を骨折したが、現在はほぼ骨折前の状態まで回復。心臓の治療を続ける上皇さま(91)の日常を細やかに支え、上皇さまや自身の体調と向き合う日々が増えた。
側近によると、上皇さまを「早くお支えできるように」と、退院後は仙洞御所(東京都港区)で毎日リハビリに励んだ。上皇さまが5月と7月に東大病院に入院した際は連日見舞った。上皇后さまの細やかな支えに「ありがとう」とほほ笑む上皇さまに、優しくうなずきながら、ほほ笑みを返している。
今年は戦後80年に当たり、天皇、皇后両陛下が硫黄島、沖縄、広島、長崎を訪れ戦没者を慰霊した。ご夫妻で両陛下の旅を見守り、在位中の戦後50年の折に同じ場所を訪れた往時を回想。8月には長野県軽井沢町を訪れ、大日向開拓地を散策し、節目の年に満蒙開拓の歴史を伝える地を再訪できたことに安堵(あんど)した様子だった。
午後に少し熱が上がる症状は続き、心不全の診断指標であるBNP値も正常値を超えた状態にある。脚力低下による転倒防止のため、午前は御所内、午後は御所内か赤坂御用地を散策。軽い運動も行っている。ただ、以前と比べて疲れやすくなり、一度に歩ける距離が短くなるなど、体力低下も見られる。
上皇さまとの朝食後の音読を継続しており、今は田中貴子著の「いちにち、古典」を読んでいる。一人での読書も続け、最近は新聞記事で知ったワファー・タルノーフスカ著「シリアの秘密の図書館」を取り寄せて読んでいる。

91歳の誕生日を前に、上皇さまと写真撮影に臨まれる上皇后さま=9日、東京都港区の仙洞御所(宮内庁提供)