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首都高速道路で2024年5月、玉突き事故を起こして6人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などに問われた元トラック運転手、降籏(ふりはた)紗京(さきょう)被告(29)に対し、東京地裁は4日、懲役7年6月(求刑・懲役8年)の実刑判決を言い渡した。大川隆男裁判長は「無謀な運転を漫然と継続しており、過失は極めて大きい」と非難した。
判決によると、大型トラックを運転していた被告は24年5月14日午前7時半ごろ、埼玉県戸田市の美女木ジャンクション(JCT)付近の首都高5号池袋線下りで、渋滞の列に時速75〜80キロで追突。計6台を巻き込み、3人を死亡させ、3人に重軽傷を負わせた。
判決は、事故の数日前から体調不良が続き、事故前夜も十分に眠ることができていなかったのに勤務先に運転の交代を依頼しなかった▽運転時に意識が遠のくなど、正常な運転がとてもできないと認識できたのに運転をやめなかった――ことを過失と認定した。
その上で「前触れなく突然大切な家族を失った遺族の心痛は計り知れない」と指摘。起訴内容を争っていない点も有利な事情とせず、別に起訴された児童ポルノ禁止法違反(所持)と合わせて求刑に近い量刑を選択した。被告は事故直前まで不倫相手と無料通話アプリでやり取りをしていたが、判決で言及はなく、過失に含まれなかった。
被告は公判で謝罪はしたものの「事故は何かの間違いじゃないかと、認めきれないところがあった」と発言していた。大川裁判長は「現実逃避している。通り一遍の謝罪は誰の心にも響かない。遺族の深い悲しみと怒りの陳述を何度も思い出して心に刻み、逃げることなく考え続けてほしい」と説諭した。
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事故で夫の裕紀さん(当時42歳)を亡くした杉平智里(ちさと)さんは判決後の記者会見で「(懲役)7年以上の判決が出たことは(遺族の)気持ちや努力が伝わったと思う」と語った。一方で、法定刑がより重くなる危険運転致死傷の適用を検察側が見送ったことに触れ、「満足できるものではない。同じ思いをする人がいなくなるよう法改正をしてほしい」と望んだ。
被害者参加制度を利用して智里さんは公判で直接、被告に心情を伝えた。「きょうが終わりではなく、苦しみは続く」と話した。【安達恒太郎】
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