
気象庁は今日10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常な状態となっていますが、ラニーニャ現象に近い状態となっています。今後、冬のはじめにかけて、ラニーニャ現象に近い状態が続く見通しです。ただその後は急速に解消するため、ラニーニャ現象の発生には至らず、春のはじめにかけて平常の状態が続く可能性が高くなっています。
10月の実況
10月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は-0.5℃で、基準値より低い値でした。また、エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の8月の値は-0.3℃で、基準値に近い値でした。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高かった一方、中部から東部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は西部で平年より高かった一方、中部から東部では平年より低く、東部で低温が強まりました。太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は西部から中部で平年より強まりました。対流活動は、インドネシア付近では活発でしたが、太平洋赤道域の日付変更線付近では不活発でした。このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象に近い状態となっていることを示しています。
今後の見通し
実況では、太平洋赤道域の中部から東部で冷水が継続しています。大気海洋結合モデルは、太平洋赤道域で貿易風が強い状態が続くため、冬のはじめにかけて、エルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い値が持続する可能性が高いと予測しています。しかしながら、その後は大気海洋結合が弱くなるためこの状態は長続きせず、海面水温は急速に上昇して、春のはじめは基準値に近い値となると予測しています。以上のことから、冬のはじめにかけて、ラニーニャ現象に近い状態が続きますが、ラニーニャ現象の発生には至らず、春のはじめにかけて、平常の状態が続く可能性が高くなっています。
エルニーニョ/ラニーニャ現象とは

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象のことです。逆に、同じ海域で海面水温が、平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれています。エルニーニョ/ラニーニャ現象は、海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、冷夏や暖冬になりやすく、「ラニーニャ現象」発生時は、夏に沖縄・奄美で雨量が多く、冬は寒気が流れ込みやすいと言われています。
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