仲代達矢さん死去、92歳 「影武者」「乱」など黒澤映画常連 「無名塾」創設し役所広司ら育成

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2025年11月11日 11:25  日刊スポーツ

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仲代達矢さん(25年2月17日撮影)

映画「影武者」や無名塾の主宰などで知られる俳優仲代達矢(なかだい・たつや)さんが8日に死去したことが11日までに分かった。92歳だった。通夜、告別式は近親者のみで行い、お別れ会などの予定はないという。


働きながら高校を卒業後、1952年(昭27)に俳優座養成所に入所。同期には佐藤慶さん、佐藤允さん、中谷一郎さん、宇津井健さんらがいた。早くから大型新人として注目され、劇団公演「令嬢ジュリー」「ハムレット」などに主演した。映画でも黒沢明監督「七人の侍」で映画初出演した後、小林正樹監督の「人間の条件」の主役梶を演じて、スター俳優の仲間入りをした。小林監督の「切腹」「上意打ち」に出演したほか、「椿三十郎」「天国と地獄」「影武者」「乱」など黒沢映画の常連となり、「金環食」「不毛地帯」など大作映画にも主演した。テレビでもNHK大河ドラマ「新・平家物語」で清盛を演じるなど、日本を代表する俳優だった。


84年に俳優座を退団した後は、妻の演出家宮崎恭子さんと俳優養成のための私塾「無名塾」を創設し、役所広司、若村麻由美、益岡徹ら数多くの俳優を育てた。自らも無名塾公演「マクベス」「リチャード3世」などで主演を務め、日本屈指のシェークスピア俳優だった。


晩年まで一線の俳優として精力的に活動し、今年5月から6月にかけて石川県七尾市の能登演劇堂で上演された「肝っ玉おっ母と子供たち」に主演し、9月27日には能登演劇堂の開館30周年と無名塾と同演劇堂の交流40周年を記念するトークショーに登壇していた。また、来年3月には能登生まれの絵師を描いた舞台「等伯−反骨の画聖−」で演出を務める予定だった。


宮崎さんとの間に子どもはいなかったが、宮崎さんの妹でアナウンサーだった宮崎総子の娘奈緒を養女に迎えている。07年に文化功労者、15年には文化勲章を受章した。


◆仲代達矢(なかだい・たつや)1932年(昭7)12月13日、東京都生まれ。52年に俳優座養成所に入り、55年に俳優座入団。75年に妻宮崎恭子さんと無名塾を設立。代表作は舞台「リチャード三世」「マクベス」「どん底」など、映画「人間の條件」「切腹」「影武者」「乱」「海辺のリア」、ドラマはNHK大河「新・平家物語」など多数。一人芝居「バリモア」に出演、全国巡業も行った。07年文化功労者、15年文化勲章。

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