参院本会議でガソリン税と軽油引取税の暫定税率廃止法が可決、成立し、一礼する片山さつき財務相(左から2人目)=28日午前、国会内 ガソリン税や軽油引取税の暫定税率廃止により、国・地方の税収には大きな穴があくことになる。安定した代替財源の確保策は今後の議論に委ねられたが、他の税目の増税には反発もあり、難航必至の情勢だ。
ガソリンの暫定税率を巡っては、与野党6党が今月5日、「12月31日」の廃止で正式合意していた。廃止前後の急激な価格変動を防ぐため、政府はガソリン高騰対策で支給している補助金を段階的に増額。12月11日に暫定税率と同額の1リットル当たり25.1円まで増額した上で、同税率を廃止する。軽油の暫定税率も来年4月1日に廃止する。
これに伴い、国と地方の税収は年間約1.5兆円減る見通しだ。暫定税率廃止法は代替財源について、今年末までに法人税の租税特別措置の見直しなどで捻出する方針を付則に明記。それでも足りない場合、今後1年程度で追加的な財源の具体策の結論を出すとした。
地方自治体にとって、暫定税率の廃止は道路やトンネルの維持管理などに使う財源が目減りすることを意味する。政府が今月26日に開いた全国知事会議では「地方の担う行政サービスに支障を来すことがないよう、代替となる恒久財源を措置していただきたい」(河野俊嗣宮崎県知事)と地方の減収への対応を求める声が上がった。
だが、増税の議論には与野党ともに及び腰だ。これまでの協議では自動車関連諸税の増税も候補に挙がったが、野党は「自動車ユーザーから違う税金を取るのは駄目だ」(国民民主党の榛葉賀津也幹事長)などと猛反発。財源確保に向けた議論は曲折が予想される。