日本将棋連盟の妊娠出産規定に関する要望で記者会見する将棋の福間香奈女流六冠=10日午前、大阪市北区 将棋の福間香奈女流六冠(33)が10日、大阪市内で記者会見し、出産を控えた女流棋士がタイトル戦に出場することが難しい現在の日本将棋連盟の規定は人権上重大な問題を含んでいるとして見直しを要望した。その上で、妊娠や出産のため対局できない場合は不戦敗とせず、タイトル戦に関しては暫定王者制度を設けるなどの措置を求めた。
連盟は今年4月、女流棋士のタイトル戦出場に関して、出産予定日の前後14週間の期間と対局日程が一部でも重複する場合、対局者を変更する規定を設けた。これに対し、福間さんは「タイトル戦出場か出産かの二者択一を迫ることになり、女性のリプロダクティブ権(生殖に関する権利及び自己決定権)を大きく制約する」として、同規定の運用停止を求めた。
さらに、タイトル保持者が妊娠や出産のため対局できないときは不戦敗とせず、その期だけの優勝者を決める暫定王者制度を設けてタイトル保持者の地位を保障することなどを提案した。
福間さんは現在、計八つの女流タイトルのうち六つを保持。昨年12月に出産したが、妊娠中の一部対局は体調不良で不戦敗になった。福間さんは会見で「(現行規定のままでは)第2子を持てないと、絶望的な気持ちになった」と述べた。
福間さんの会見を受けて、連盟は「現在、(規定の)改定案を調整中で、新たな規定では専門家の見解などを参考に、より柔軟に対応が行える仕組みを検討している」とのコメントを発表した。