さだが設立した公益財団法人『風に立つライオン基金』は、設立10周年を迎えた。顕彰事業は、設立から毎年夏に開催している『高校生ボランティア・アワード』と、2023年度から新設された『風に立つライオン オブ・ザ・イヤ―』を両輪としている。『風に立つライオン オブ・ザ・イヤ―』で贈られる賞は、主に海外で活動する団体・個人を表彰する「柴田紘一郎賞」と、国内で活動する団体・個人を表彰する「鎌田實賞」の2つの賞となる。今年の「柴田紘一郎賞」はNPO法人Piece of Syria(ピース・オブ・シリア)、「鎌田實賞」は岐阜県総合医療センター新生児内科医師の寺澤大祐氏が受賞した。
柴田紘一郎賞:NPO法人Piece of Syria(ピース・オブ・シリア) 代表理事は中野貴行氏。1981年8月18日生まれ。Piece of Syriaは「シリアをまた行きたい国にする」ことを目標に、平和構築・復興の土台となるシリアの子どもたちへの教育支援と、シリアの文化的な魅力を伝えることを通して平和教育を行う団体。創設者の中野貴行氏は、青年海外協力隊として平和な頃のシリアで活動し、現地の人々の暮らしに溶け込みながら生活する中で、シリアの人たちの美しい生き方に感銘を受けた。活動先の村で、中野氏の存在によって「夢が持てるようになった」と語る少女に出会い、その少女は「将来、子どもたちの夢をかなえられる学校を作りたい」と夢を語った。しかし、2011年に内戦が始まり、少女の住む村が過激派に占領され、小学校の校庭が処刑場になったことを知る。中野氏は2015年に中東・欧州10カ国でシリアの人々や支援団体に話を聞き、「子どもたちの夢をかなえる学校を作る」と語る青年と出会ったことをきっかけに、2016年にPiece of Syriaを設立。青年と協働で教育支援活動を開始した。現在、シリア国内外で幼稚園の運営、補習校の運営、小学校の校舎修復、教師研修、心のケアセンター運営を行い、これまでに5万人以上の子どもたちに教育の機会を届けている。