「子どものいる女性は仕事に集中できないので、上級管理職に就くべきでない」発言に批判

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2013年03月12日 10:30  MAMApicks

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イギリスの公共放送局BBC関連会社のマーク・トーマスCEOが、「子どものいる女性は仕事に集中できないので、上級管理職に就くべきでない」「母親は、営利企業で働くのに向いてない」という趣旨の発言をしたとして、英国内で批判を浴びている。

トーマス氏は、社内にはびこる女性差別や嫌がらせを告発しようとした当時の人事部長を辞職に追いやったとして、この元人事部長が雇用審判所に提訴。上記の発言は、現在進行中の審判の中で、元人事部長が明らかにしたものだが、トーマス氏やBBC側は否定している。


元人事部長によると、問題の発言があったのは、2009年のこと。産休から復職し、当面の時短勤務を希望している女性課長の処遇について相談していた際に、トーマス氏の口から飛び出したものだという。トーマス氏はさらに、この女性課長について、放送禁止用語を使って口汚くののしった上、わざと実行不可能な条件をつけた時短勤務を彼女に提案する嫌がらせをしたと人事部長は証言している。BBC側は社内調査の結果、そうした事実はなかったと発表しているが、BBCをめぐっては、人気番組の女性司会者(当時53歳)が、番組を降板させられたのは、年齢差別・性差別だとして、雇用審判所に提訴。昨年、審判所が年齢差別について、女性司会者の主張を認め(性差別については不問)、BBCに賠償金の支払い命令を下した前例もある。

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一連の報道からは、世界を代表する報道機関であるBBCの驚くべき旧態依然ぶり、男社会ぶりが浮かび上がるが、かつて、日本を代表する新聞社に勤務していた筆者にとっては、さもありなんとうなずける気がする。

もう10年以上も昔の話で、さすがに今は女性記者の数も急増し、企業風土も変わっていると信じたいが(実際、妊娠・出産を経て記者職に復帰している女性も多い)、筆者が結婚の報告をした際の、当時の上司の第一声が、「おまえ、間違っても産休なんか取るなよ」だったから。

制度として、産休・育休を取得することは可能ではあったものの、特に当時20代前半だった筆者には、「取るなよ」プレッシャーしかなかった。(一方で、一歩社外に出ると、取材先のオジサマたちから毎日のように、「仕事なんかしてないで早く子ども産まないと」とか「どんどん子どももうけなさい」とか言われながら……)

そんなわけだから、件のBBC発言も、「イギリスでもそうなのか……」と多少のショックはあるものの、あり得るなと。この件、日本のマスコミが一切報じていないのは、「同じようなことをしてきたからマズイ」という意識が働いているからというよりは、彼らにとっては、こんなこと日常茶飯事で、ニュース価値を見いだせないからかもと勘繰ってみたり。

イマドキ、女性の活用なくしては、経済、社会の活性化は不可能。大マスコミにこそ、先駆モデルを示してもらいたいものだが、まだまだ道のりは遠そうである。


恩田 和(Nagomi Onda)
全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月より南アフリカのヨハネスブルグに在住。アフリカで子育て、取材活動を満喫します!


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