「“働くママ”の子の約半数が22時以降に寝るという事実」を読んで心ざわめくすべてのお母さんに捧ぐ。

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2013年03月15日 12:40  MAMApicks

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ナショナルジオグラフィック日本版「“働くママ”の子の約半数が22時以降に寝るという事実」(http://nationalgeographic.jp/nng/article/20130306/342780/)という記事を、先日読んだ。

これをうけて、思い出されたエピソードがある。
いささか愚痴っぽい。しかもオチはない。前もってお断りしておくので、お許しいただきたい。

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あれは、今年小5になる長女が幼稚園に入園した年、今年小1になる次女が0歳であったのだから、もう6年前になるか。

長女の入園までまともな時間に起床できなかった私は、いきなり開始されたまとも時間での暮らし(しかも弁当持参率100%、園への送迎は徒歩で往復1時間、0歳装着)の日々に疲れ、おののいていた。

加えて初めての集団生活で長女は月2ペースで各種流行病を輸入、もれなく発症しては0歳児に伝染させていたのも大変厳しかった。だいたいこの2週間の看病で疲弊した母が、3週目に伝染って病臥という「3週間母子罹患サイクル」は、皆が治った4週目の終わりに新しい病がイン! という具合でエンドレス・ループと化し、結局1年近く続いた。

しかしそもそも、6月くらいの段階で筆者の精神はもうギリな感じになっていた(5月に長女が救急車に乗る塩梅になったことも地味に響いている)。

その頃合いであった。あの「幼稚園ママ顔合わせランチ」が地元の焼肉屋で開催されたのは……。


出席率ほぼ100%、専業主婦率もほぼ100%。焼肉屋のお座敷に集合したママたちは、昼からビールを楽しみ、よく食べた。当時授乳婦の筆者は0歳を抱きウーロン茶であったが、上に子どものいるママたちによる情報共有は、なかなか興味深かったのを覚えている。

歳の離れた兄弟、中学生や高校生の子どもの居るママもいて、そんな子どもの話は異世界的に新鮮であった。基本的に3年保育で、年中から入園した子は20人強の子どもたちのうち3人ほどだったのだが、我が子のほか2名であった男児ひとりのママが、宴のさなかに声をかけてきた。

「フジワラさん! 長女ちゃん、今週はお休みしないで来れてるって、息子から聞いて、良かったなーって思ってるんですよ!」
「あぁ、どうもすみません……。長女、よく風邪もらってくるし、どうしてもこの子(0歳)にも伝染って、私にも伝染ってってなっちゃうと、送り迎えもつらくて休みがちになっちゃうんですよねぇ……。」
「ママ、顔色良くないね。」
「……。」
「それはそうと、フジワラさんとこ、夜、子どもたちは何時にお休みになってます?」


マンガであれば「ドキッ!」と効果音が入るところである。実のところ、就寝時間は入園以来、混乱を来たしていた。

幼稚園の降園は毎日14時であるが、子どもたちはまっすぐ帰らず、園庭でひと遊びしてから家路につく。それから大人の足で10分の距離を、たっぷり30分以上かけてのたくた歩き、帰宅したらまずオヤツ。すると、だいたい16時前に、年中さんの長女は疲れて寝てしまうのだ。ほぼ毎日、そういう塩梅だった。

まずいなあとは思い、寝るなよーと言っていても、ソファでこっくりこっくり絵本に向かって舟を漕いでいる4歳児を見ると、不憫になって布団を敷いてしまっていた。そうして19時、20時に起きてきたところでようやく夕飯、入浴、歯磨き……。だから本当の就寝は、いつも22時を回っていたのだ。ちなみに起床は8時過ぎである。

と、いうようなことをつらつら思い浮かべつつ、正直に「うーん、毎日22時過ぎかなあ……。」答えた筆者。すると、かのママは目を見開いて「フジワラさん! だから、長女ちゃん、身体が弱くなっちゃうんじゃない?」と言ったのである。


マンガであれば「ギョッ!」と効果音が(以下略)。だが、かのママ(以下Kママ)曰く、「息子もおねえちゃんも、19時には寝ちゃうんですよ!」。息子君の2歳年長のお姉ちゃんなど、19時就寝のため丈夫で、幼稚園を2年間皆勤だったらしい。

驚いた。


19時に子どもを就寝させるには?
「17時夕食、18時入浴、19時にはベッドへ」が鉄則だという。衝撃を受けて呆けていた筆者に、この日Kママはいかに子どもの早寝早起きが素晴らしいか、ランチ会の帰途までかけて説いてくれた。子どもを遅くまで起こしているのは「ひとえに親の怠慢」だと言われ、我が身を振り返り恥じて、「私も19時就寝を目指す」とmixi日記にも書いたログが残っている。

残ってはいるのだが、筆者は結局それを実行しつづけられなかった(何回かは試した記憶がある)。定着しなかったのだ。できなかった。

そして、「19時就寝が結局できなかった」事実が、さらなる恥および敗北感として我が身に上書きされ、現在までじんわり残っていたり、する。


こと子どもに関して、「早寝させるのが正しい」というのはおそらく正真正銘「正しい」のだろう、「早寝」に反論する理路を、もう何年も探しているが筆者は見つけることができないでいる。「遅寝が子どもの成長に相応しい」エビデンスがあったら誰か教えてほしいくらいだ。でも、多分ないだろう。

「早寝 早起き 朝ご飯」というのは筆者の住んでいる自治体では、教育の根幹をなす大スローガンだ。正しい。ぐうの音も出ないほど、正しい。

19時就寝はさすがにミッフィーちゃんじゃあるまいし無理だとしても、せめて21時にベッドに入れたいというのは親の切なる願いだ(実際問題それ以後まで起きていられると、子どもの健康以前にこちらの体力的にも響く)。でも難しい。21時就寝すら難しい。

筆者の家では、毎日目指しているのに、いつも21時をオーバーしてしまっている。ゆえに、親として罪悪感、育児能力的敗北感、「睡眠時間の短い子どもは背も伸びないし頭も悪くなるかも知れない」的恐怖感と劣等感。ない交ぜになって、夜な夜な、苦しい。

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そして再び、冒頭の紹介記事に戻りたい。
“働くママ”の子の約半数が22時以降に寝るという事実」(http://nationalgeographic.jp/nng/article/20130306/342780/)
深く思うところあって(おもにここまでの愚痴)、ツイッターで呟いたところ、一晩で100リツイート近くなされ、多くの「働くママ」の言葉が後に続いた。

「耳が痛い」「ジレンマ」「悩ましい」……「しょーがないでしょっ」なんて開き直れない、自責の言葉たち。「22時以降に子どもが寝るのが正しくない」のなんか、そんなの他人に言われなくても、分かってる。でも、難しい。でも、できない。でも。

この記事自体は決して「働くママ」を責め苛む意図で書かれたものではないのだが(ちゃんと読めばどちらかというと働くママを擁護する文章だ)、ショッキングなタイトルだけにもう煽られて、落ち込むことができてしまう。

「“ママが働いているせいで”22時以降に寝る」と、行間に赤字を自ら補足して読んでしまうのだ。“ママが働いているせいで”子どもがこうむる不利益のすべては、ママのせい。ママのせい。ママのせい(エコー)……。


記事を読んでから、ずっと筆者の心はざわざわしている。そのざわめきはなかなかやまないでいる。しかし果たして「ママのせい」100%なのか?これは。ママが何かをガンバって努力さえすれば、アラ不思議解決ゾロリな単純な話なのかこれは。

「親の怠慢」が招くかもしれない不幸な結果はすべて自己責任なのか(話ズレるか)。ママが子どもを正しくアレしてコレすれば、もれなく間違いないオトナに育つのか。間違いないオトナって何だ。ていうか、自分は間違いなく、アタマ良く育ったのか? 疑問だ。……はなはだ、疑問だ。(※ちなみに筆者は中3まで20時45分就寝)


最後に、見落としやすい部分なのだが、「まず、一番上の就労時間が週に20時間未満の母親。これは専業主婦を含む群です。そこでも、22時以降に寝るお子さんが昔から見れば増えていて、35%を超えています」(http://nationalgeographic.jp/nng/article/20130306/342780/index3.shtml)というところを凝視しておきたい。つまるところ「働くママ」じゃない(あるいはあんまり働いてない)ママの子どもでも、35%以上が「22時以降に寝」ている。(ここ大事)

これは2006年の数字なので、今はもっと減っている?という点も加味して、情報は味わいたいものである。しかし胸がザワザワのみならず、腸までギュルギュル言い出した筆者。うう、ストレスか……情報にアタったのかも知れない。

それにしても、あーあー、ママも19時に寝たいなー。そしたら毎朝3時に起きるのにナ!(それはまた別の話)。


藤原千秋
大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。おもに住宅、家事まわりを専門とするライター・アドバイザー。著・監修書に『「ゆる家事」のすすめ いつもの家事がどんどんラクになる!』(高橋書店)『二世帯住宅の考え方・作り方・暮らし方』(学研)等。10歳6歳2歳三女の母。

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