"意味"のない仕事に価値はないのか? 架空のルポライターが追う不思議な仕事たち

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2013年10月22日 18:12  BOOK STAND

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今年も厚生労働省より、国内のさまざまな分野において卓越した職人を表彰する「現代の名工」の発表が、11月に予定されています。毎年その道の第一人者として、150名の匠が選ばれるこの賞。中には、日本で唯一の技術を継承する職人も登録されており、日本の伝統技術の歴史の深さと職人たちの誇り、そしてその技術を受け継いでいく"意味"を知ることができます。

作家・三崎亜記氏の著作『玉磨き』は、そのように日本の職人たちが代々継承してきたような伝統産業や、時代の波に埋もれようとしている仕事を一つずつ、架空のルポライターが取材していくという短編集です。そこに登場する人々の仕事は、一般的なものと多少趣が異なっています。

表題作にもなっている『玉磨き』は、日夜を問わず、ただひたすら直径60センチの玉を磨き続けるという不思議な伝統産業のルポルタージュ。玉磨きの技術を受け継ぐ唯一の担い手・高橋家を訪ねた「わたし」は、伝統産業であるにも関わらず生産物が何もなく、完成という概念がない玉磨きの作業を目の当たりにします。

作中には、他にもひたすら一人で部品だけを作り続け完成形を見ることのない分業体制や、水底に沈んだ町でたった一人、商店街組合を守り続ける男などが登場しますが、「玉磨き」を含め、それらの仕事には"意味"というものがないのです。

では仕事でも人生でも、意味のないことに価値はないのでしょうか。消え去るであろうものや、失われるために存在するような仕事でも、作中を通しそれに従事する人々の想いをくみ取ることで、その答えが見えてくるかもしれません。

今月16日よりKDDIが提供するスマートフォン向け電子書籍サービス「ブックパス」では、三崎氏の最新作『イマジナリー・ライフレポート』を独占配信しています。『玉磨き』同様、架空のルポルタージュ形式で物語は進んでいく同作ですが、今回「わたし」が追うのは「仕事」ではなく「人」。三崎氏曰く、同作では「評価が定まってしまった人を別の角度から探るような物語を書いていきたい」とのこと。

今回のように書籍の最新作を電子書籍で先行配信するというのは珍しい取り組みになりますが、「電子書籍だからといって執筆スタイルを変えることはしません。自分の書きたいものを書こうと思います」と三崎氏は話します。

最新作『イマジナリー・ライフレポート』はブックパスの「読み放題プラン」内で連載。全12回で、6タイトルを前後編で掲載し、2014年12月の終了を予定しています。

【関連リンク】
【ブックパス】ブックパス with 幻冬舎
http://www.bookpass.auone.jp/info/gentousya_fair/pc/index.html


『玉磨き』
著者:三崎 亜記
出版社:幻冬舎
>>元の記事を見る



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  • 意味は当人が判るもの、価値は他人が見出すもの...なのかな、と思う 特に評価という視点で見た場合は余計に強調される気がする
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