道交法の新ルール「無免許運転同乗罪」 免許ない車に乗り合わせただけでアウトなの?

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2014年01月27日 19:00  弁護士ドットコム

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免許を持っていない同僚に車を運転させ、その車に同乗した男性会社員が1月上旬、書類送検されたと報じられている。男性会社員は昨年12月、都内で摘発され、「運転に自信がなかった」などと、容疑を認めているという。


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自分が無免許運転をした場合だけではなくて、こんな場合にも「犯罪」とは初耳だったが、実はこれ、昨年12月施行の改正道路交通法で設けられた新ルールで、摘発は首都圏では今回が初めてだそうだ。



この新ルール、具体的にはどんな内容なのだろうか。また、なぜ、そんなルールが設けられたのだろうか。交通問題にくわしい前島申長弁護士に聞いた。



●処罰されるのは無免許運転を「要求・依頼」したとき


「今回の事例は、昨年12月1日施行の改正道路交通法改正で新設された『無免許運転同乗罪』(法64条3項)が適用されたケースです」



無免許運転同乗罪とは、いったい何なのだろうか? 単に無免許の人が運転する車に乗り合わせたような場合でも、罪に問われてしまうのだろうか?



「いいえ、単に無免許運転の車に同乗しただけでは、罪とはなりません。



今回新設された無免許運転同乗罪では、運転者が免許を受けていないことを知りながら、その運転者に自動車等を運転して自己を運送することを『要求・依頼』して同乗した場合に、処罰が限定されています」



●悪質・危険な無免許運転の根絶が狙い


どうして、そんなルールができたのだろうか?



「この無免許運転同乗罪は、悪質・危険な無免許運転を根絶するため、整備されたものです。



実は従来も、無免許運転を手助けした人については、刑法のほう助犯(手助けをすること)が適用され、処罰される場合もありました。



しかし従来、実際に処罰されるのは、無免許の人に運転方法を指導・助言して運転させた場合(指導ほう助)や、無免許運転者に対し自動車を貸した(貸与ほう助)ような、特に悪質な場合に限定されていました。



そこで今回、従来の無免許運転のほう助犯よりも、処罰対象となる範囲が事実上広く、刑罰も重い、『無免許運転同乗罪』が新設されたのです。



法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です」



今回の法改正では、無免許運転そのものの罰則も、《1年以下の懲役または30万円以下の罰金》から、《3年以下の懲役または50万円以下の罰金》に引き上げられている。悲惨な交通事故を減らすためのルール整備は、いまなお進んでいるようだ。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
前島 申長(まえしま・のぶなが)弁護士
前島綜合法律事務所代表弁護士 大阪弁護士会所属
交通事故・労災事故などの一般民事事件、遺産分割・離婚問題などの家事事件を多く扱う。交通事故については、被害者側の損害賠償請求の他に加害者側の示談交渉・刑事弁護も扱う。
事務所名:前島綜合法律事務所
事務所URL:http://maeshima.lawer.jp/



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  • これは知りませんでした こういう情報は免許更新時以外は自分から取りにいかないといけないので助かります
    • イイネ!13
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