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レンタルビデオをうっかり返し忘れて延滞――。そんな経験のある人は少なくないだろう。1日あたり数百円の延滞金を支払うはめになり、悔やしい思いをするのが普通だろうが、なんとアメリカでは、9年前に借りたビデオを返却していないという理由で逮捕された女性がいるそうだ。
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報道によると、この女性は2005年にVHSビデオを借り、そのまま返却していなかったとして逮捕された。留置場で一晩明かしたあと、翌日に2000ドル(約20万円)を払って、保釈されたという。しかし、そのビデオ店はすでに廃業しており、ネット上には「捜査当局のやりすぎでは」という声もあるようだ。
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もし日本で同じように長期間レンタルビデオやDVDを返却しなかった場合、逮捕されるようなことはありうるのだろうか。その場合、どんな罪に問われるのだろうか。泉田健司弁護士に聞いた。
「実務の扱いを無視して検討すれば、そうした行為は一応、横領罪(刑法252条、5年以下の懲役)にあたりうるでしょう」
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泉田弁護士はこのように切り出した。横領罪とは、どんな犯罪なのだろうか?
「横領罪は、他人から借りた物や預かっている物を、勝手に自分の物にしてしまうという犯罪です。
横領罪が成立するには、借りたDVDを自分の物にする意思を有していたといえなければいけません。法律上は、この意思のことを『不法領得の意思』といいます」
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難しい言葉が出てきたが、その「不法領得の意思」とは、たとえばどんな内容だろう?
「参考になる例として、漫画『ドラえもん』に登場するジャイアンが言い放った、歴史に残る名言があります。
『いつかえさなかった!? えいきゅうにかりておくだけだぞ』
本を借りた友達から、いつ返してもらえるのかと聞かれたときに、ジャイアンが怒って返した言葉です。このジャイアンの『永久に借りておく』というのは、言い回しは独特ですが、要は自分の物にしたということですから、『不法領得の意思』を宣言した内容といえるでしょう。
一方で、いつかは返すつもりであったなら、この不法領得の意思がないので、基本的に横領罪は成立しません」
その「いつか」には、期限はないのだろうか?
「長期間にわたって返却しなければ、『返すつもりだった』といっても信用してもらえないでしょう。そうなれば、自分の物にしたとして、横領罪にあたるといわれてしまう可能性もゼロではありません」
泉田弁護士は横領罪について、このように解説してくれたが、現実問題としては、長期間レンタルビデオを返さなかっただけで逮捕されるようなことは、まずないということだ。
「ただ、これは、机上の論理で、日本では、このような事例で現実に逮捕されたという話は聞いたことがありません。このアメリカの事例は、極端な事例であり、日本で同様なことが起こるとは考えにくいと思います。
もし、逮捕される可能性があるとしたら、たとえば借りたDVDを第三者に転売したというような悪質な事例でしょう。
さらに、逮捕まで至るのは、そういった悪質な事例の中でも、繰り返し同様のことをしていた、過去に犯罪歴がある、住所不定であるというような、その他の要素が加わった場合ではないかと思います」
泉田弁護士はこのように述べたうえで、「いずれにしても、弁護士としては、『借りたものはきちんと返しましょう』という一言につきます」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
泉田 健司(いずた・けんじ)弁護士
大阪弁護士会所属。大阪府堺市で事務所を構える。交通事故、離婚、相続等を中心に地域一番の正統派事務所を目指す。趣味は将棋、カープ、そしてドラえもん。
ブログ http://ameblo.jp/izuta-law/
事務所名:泉田法律事務所
事務所URL:http://izuta-law.com/
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