図書館の本を何年も「借りっぱなし」・・・返さないと「横領罪」になってしまう?

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2014年04月13日 14:30  弁護士ドットコム

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図書館で借りた本の返却期限をすっかり忘れていた・・・そんな経験を持つ人は少なくないかもしれない。米カンザス州の図書館では、20年以上も前に貸し出された本が、このほどようやく返却されたとして、話題になっている。


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AP通信の報道によると、今年3月に返却されたのは、世界中から集めた300以上のレシピが掲載された料理本だ。貸出日は1992年9月なので、22年間も借りっぱなしだったのだ。延滞金をとられるということだが、その金額は4ドル50セント(約450円)。図書館関係者は、「借りた人は、この本をどこかに置き忘れて、最近になって見つけたのではないか」と推測しているという。



日本では、延滞金を取るのではなく、「延滞日数と同じ期間、本を貸さない」というルールをもうけている図書館が多いようだ。では今回のように、図書館の本を何年も延滞した場合、法律上、罪に問われることはあるのだろうか。小野智彦弁護士に聞いた。



●「返すのをやめよう」と思ったら要注意


「図書館で借りた本を返さないという問題は、無償での貸し出しということが背景にあると思います。TSUTAYAなどのレンタルビデオ店の場合は、有償での貸し出しのうえ、高額な延滞金があるので、相当な心理的圧迫を感じますが、図書館の本はそういう圧迫がありません」



――図書館サイドでも、貸し出し停止などの利用制限の規定を設けているところが増えている。果たしてそれを超えて、返さない行為が何らかの犯罪になるのだろうか。



「理屈のうえでは、横領罪になりえます。図書館から預かった本があたかも自分の物であるかのように振る舞っているのだと解釈され、横領罪と判断される可能性があります。



ただ単に、返還期限を過ぎたくらいでは横領罪にはなりませんが、『もう返すのが面倒だ。返すのをやめよう』とか、『返還の催促がうざい。着信拒否にしてしまおう』などという思いが行動にでた段階で、横領罪になります」



――もし、図書館が横領罪として警察に被害届けを出した場合、警察は動くだろうか。



「基本的に警察は動かないでしょう。国宝級の高価な本であれば捜査するでしょうが、そのような本は、基本的に貸し出し禁止になっていますね。図書館で貸し出されている本は、おおむね安価です。そして、返さない人も多数いるでしょう。いちいち事件化していたら、他の事件が停滞しかねません」



――では、図書館側が、民事裁判に訴えるということもありうるだろうか。



「図書館も、そこまでして返還請求をすることはしてこないでしょう。ですから、この問題は永遠に繰り返されるのだと思います。電子化することで対策をするしかなさそうですね」



とはいえ、図書館の本は公の財産。貸し出し期限は守りたいものだ。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
小野 智彦(おの・ともひこ)弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。オフィスは銀座一丁目。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
事務所名:銀座ウィザード法律事務所
事務所URL:http://homepage2.nifty.com/tomo-ono/lawyer/



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