昨年の秋、みずほ銀行が暴力団関係者への融資を放置していたことが大きな問題となった。金融機関は、暴力団など反社会的勢力との関係を絶つことが、あらためて求められている。だが現実には、融資したあとで、相手が反社会的勢力だったと発覚することもある。
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そのような債権は、すぐに回収する必要があるが、相手が相手だけに回収に手間取る場合も多い。そこで、金融機関の破たん処理などをてがける預金保険機構が、金融機関から回収困難な「反社会的勢力」債権を買い取る事業をおこなっている。
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このような「特定回収困難債権」の買い取り制度は、2011年の預金保険法の改正を機に始まった。2013年度の買い取り件数は16件。買い取り総額は17億7000万円にのぼり、前年の同時期の1億5000万円から10倍以上に増えている。
「開始から2年、制度の周知を続けてきて、ようやく金融機関に認識してもらえるようになった。みずほ銀行の報道をきっかけに、金融機関の中にも『暴力団を排除しよう』という機運が高まってきたということではないか」
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預金保険機構の担当者はこのように話す。そもそも、金融機関は預金保険機構に債権を買い取ってもらうことで、どのようなメリットがあるのだろうか。
「融資先が暴力団だった場合、金融機関が支払の督促にいこうとしても、怖くていけないということがあります。そのような債権の回収は、金融機関だけにまかせてしまうとかえって危ない。預金保険機構が買い取ることで、金融機関と一緒になって、反社会的勢力を排除するということです」
この買取制度を説明したパンフレットには、「支払の督促に行ったら、暴力団風の男に怒鳴りつけられた」といったケースや「『自宅に若い者を行かせるぞ!』と脅された」というケースが、具体的な事例として紹介されている。通常の手法では債権は回収できないと考えた金融機関が、預金保険機構の助けを借りるというわけだ。
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「預金保険機構には、財産調査権という権限が付与されているほか、警察や検察などから出向している職員もいて、それぞれのノウハウを使いながら運用をおこなっています」
預金保険機構が買い取った「特定回収困難債権」は、債権の管理・回収を行う整理回収機構に回収を委託する。整理回収機構が、過去の経験を生かしながら、さまざまな手段を使って回収を図るのだという。
「金融機関が反社会的勢力にむしばまれていったら、結局は、預金者に迷惑がかかることになります」
預金保険機構はこのように話し、金融機関が反社会的勢力とのつながりを絶つことの重要性を強調していた。
(弁護士ドットコム トピックス)
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