高校生の子どもが無断で「高額ギター」を買ってしまった! 親はキャンセルできる?

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2014年05月14日 17:01  弁護士ドットコム

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高額な商品を無断で購入し、親を困らせる。年ごろの子どもにはよくあることかもしれない。ただ、費用を負担する親としては、「未熟な子どもが勝手に買った商品だから、キャンセルできないものか」という気にもなるだろう。


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最近は、若者のバンド活動を描いたマンガやアニメに触発されて、ギターを始める中高生も多いようだ。ギターの値段はピンキリで、2〜3万円のモデルから50万円を超えるものまでさまざまだ。もし高校生の子どもが50万円のギターを親に相談しないで買った場合、あとから取り消すことはできるのだろうか。消費者問題にくわしい岡田崇弁護士に聞いた。



●未成年の契約は「取り消し」可能だが、「例外」も・・・


「未成年者である子どもが、法定代理人(親)の同意を得ないで売買契約をした場合、原則的にはそれを取り消すことができます(民法5条1項、2項)。契約を『取り消す』と、法律的には売買契約が始めからなかったこととして扱われます」



このように岡田弁護士は説明する。契約を「取り消す」というのは、具体的にどうすればいいのか。



「契約を取り消す方法は、契約の相手方に何らかの手段で伝えれば足ります。ただ、確実を期すためには、特定記録や簡易書留など記録が残る形の郵便でおこなうほうがよいでしょう。特別な法的措置をとる必要はなく、子どもでも可能ですが、親がしたほうが確実です」



手元にあるギターはどうすればいい?



「商品はそのまま相手方に返せば、問題ありません。未成年者がした契約を取り消す場合、『現存利益(現に利益を受けている限度)』で返還すればよいことになっています(民法121条1項)。



現存利益というのは、いま残っている形で返せば良いという意味ですので、使用してしまった後でも問題ありません」



未成年の買い物は、どんな場合でも、取り消せるのだろうか。



「必ずしもそうではありません。取り消せない場合が2つあります」



それはどんな場合か?



「1つ目は、買い物の金額が、親が子どもに目的を定めずに自由に使って良いとして渡したお金(小遣いなど)の範囲内であるときです(民法5条3項)。



今回は、50万円ということなので、一般的には小遣いの範囲を超えていると判断されます。もっとも、子どもがアルバイトをしており、アルバイトで貯めたお金でギターを買ったようなときは、小遣いの範囲であるといえるでしょう」



もう1つの場合とは?



「商品を購入するとき、子どもが『自分は成年である』とか『親の同意があった』と偽って、相手方を誤信させたときです(民法21条)。未成年者であることを黙っていただけなら問題ありませんが、積極的にだます『詐術』があった場合は、取り消すことができません。



今回のケースでも、子どもがギターを購入した店が不信を持ち、親の同意があるのか確認したところ、子どもが偽造した同意書を提出したなどという場合には、もはや取り消すことはできないと判断されます」


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
岡田 崇(おかだ・たかし)弁護士
大阪弁護士会・消費者保護委員会委員(平成18年・19年度副委員長)、日本弁護士連合会・消費者問題対策委員会幹事、関西大学法科大学院実務家教員(消費者取引法)
事務所名:岡田崇法律事務所
事務所URL:http://www.okadalaw.jp



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