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中小企業が集まって運営する厚生年金基金が、あいついで解散の方向に向かっている。基金は全国に500以上あって、従業員400万人以上が加入しているが、このうち74基金が今年度から来年度にかけて、積立金不足で厚生年金保険法の「特例解散」を実施すると報じられている。
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解散の原因としては、資産運用の低迷があげられている。2012年に発覚したAIJ投資顧問による年金資産消失事件も、大きな影を落としている。今年4月には、財政難の基金に解散を促す改正厚生年金保険法が施行され、今年度から5年間は「特例解散」によって負担軽減が認められる。この制度を活用する形で、各基金が解散の方向性を打ち出しているのだ。
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厚生年金基金の解散によって、加入者にはどのような影響があるのだろうか。もらえる年金の額が変わってくるのだろうか。本田浩二税理士に聞いた。
「わが国の公的年金制度の基本は2階建てで、1階部分が『国民年金』、2階部分が『厚生年金』というしくみとなっています。厚生年金基金は、さらにそこにつけ加えられる『3階』の部分です」
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本田税理士はこう話す。厚生年金基金は、どんな形で運用されているのだろうか?
「厚生年金基金は、加入者が本来国に納める厚生年金保険料の一部を代行して受け取り、それに独自の掛け金を加えたものを元手として、資産運用を行う企業年金です。その運用益によって、3階建て部分である『上乗せ給付』が行われるという仕組みです。
しかしながらバブル崩壊後、運用環境が悪化して期待どおりの利回りが達成できず、代行部分の積立金さえ割り込む基金が続出しました。そこに追い打ちをかける形で、AIJ投資顧問による年金資産消失事件が発覚しました。そこで、特例解散制度が見直され、今年度から5年の期限で解散がしやすくなったのです」
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厚生年金基金が解散すると、加入者にはどんな悪影響があるのだろうか?
「基金が支給すべき年金のうち、『厚生年金』の代行部分については国に引き継がれ、そこから年金が支払われます。つまり、支給元が変わるだけです。
しかし『上乗せ部分』については、現実的には支給されなくなります。もし残余財産があれば分配されますが、基金の大半は積立不足状態のまま解散するとみられるため、分配は厳しいでしょう。
つまり、基金の解散によって、年金受給額は『最初から基金に加入していなかった状態』にリセットされると考えればよいでしょう」
結局、加入者が「厚生年金基金の掛け金」として払った分は、まるまる損となってしまうようだ。基金を信用して掛け金を払っていた人にとっては、歯がゆい結果といえるだろう。
【取材協力税理士】
本田 浩二(ほんだ・こうじ)税理士
1995年税理士登録、2000年ホンダ綜合事務所設立。社会保険労務士、中小企業診断士、CFP(ファイナンシャルプランナー)の資格も持っている。
事務所名 :ホンダ綜合事務所
事務所URL:http://www.kaikei-home.com/zeirishi/
(弁護士ドットコム トピックス)
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