「労働審判は司法改革最大のヒット商品」利用者急増の理由は?(司法シンポ報告2)

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2014年07月06日 17:01  弁護士ドットコム

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日弁連などが開いたシンポジウム「いま司法は国民の期待にこたえているか」(6月20日)には、大学教授や経営者、政治家など各界の論者が登壇して、それぞれが考える「民事司法の課題」を語った。


【関連記事:「紛争がどこかで沈んでいる」民事訴訟減少の背後にあるものは?(司法シンポ報告1)】



日本労働組合総連合会(連合)の新谷信幸・総合労働局長は、労働紛争を解決する有力な手段として、2006年にスタートした「労働審判」システムを紹介。「司法制度改革の最大のヒット商品」と高く評価した。一方で、「弁護士が入ると解決率が上がるが、費用の負担感という問題がある」と、利用にまつわる課題を指摘した。



●「労働審判」は解決率が非常に高い


今日は労働者の立場から見た現状報告をします。連合は労働組合のナショナルセンターでして、産業別52の組織と、全国47の連合会を組織しています。680万人の組合員がいます。今日は、組合に入っていない方々も含めて、すべての労働者の立場でお話をさせていただきます。



たくさんの労働紛争が起こっています。連合は47都道府県で無料の労働相談電話を開設しており、たくさんの相談が寄せられています。たとえば、新入社員でずっと働いているけれど残業代が全然出ないとか、退職勧奨の話だとか、切迫流産した課長職の女性が職場に戻ったら、就業規則にもない降格を受けたという話もありました。



我が国の人口は1億2700万人ですが、このうち職業を持っている就業者が6200万人です。自営業とか農林水産業の方もいますが、雇用労働者は5300万人います。その中で紛争が起こっています。



では、個別の労働紛争に対して、どういう解決システムがあるのか。労働行政のシステムや、都道府県の労働委員会による紛争解決システムも動いていますが、いま一番評価が高く、活用が増えているのが、裁判所における「労働審判」というシステムです。



労働審判の一番のメリットは、解決率が非常に高いということです。労働行政や労働委員会に比べて非常に解決率が高く、短期間に結論が出るということで好評です。2006年にできた制度で、司法制度改革の中から生まれた制度です。司法制度改革の中でも最大のヒット商品だと思っています。利用者が急増しています。



●弁護士が入ると「解決率」が上がるが・・・


労働審判では、労働紛争が起こったときに裁判所に申し立てをして、裁判官と労使から選ばれた労働審判員の3人で構成される労働審判委員会が、3回の審理で事案の処理を行います。通常訴訟に比べて手数料も安いですし、迅速に結論が出るということで人気が出ています。



件数は、2006年に制度ができた時は900件、2007年が1500件。その後は、リーマンショックによる労働紛争の増加もあるかもしれませんが、件数が増えています。労働審判がなければ、労働者は泣き寝入りしていたかもしれないことが、解決できたと考えています。



ただ、制度にはいろいろな課題もあります。弁護士が入ると、申立人(労働者)も相手方(使用者)も「解決率が上がる」というアンケート調査の結果が出ていて、代理人の果たす役割は重要なのですが、費用の負担感という問題があります。


(弁護士ドットコム トピックス)



このニュースに関するつぶやき

  • 法律を「ヒット商品」だなんてよく言えるね。法律は突き詰めればその国民の価値観だ。自分たちの価値観でさえ経済的合理性で決めてしまう卑しさが表れてる
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