「号泣会見」で話題になった野々村竜太郎・兵庫県議の政務活動費問題をめぐり、議会の動きが本格化してきた。兵庫県議会の梶谷忠修議長は7月7日、野々村議員に対して、政務活動費を調査し、不正支出があれば返還することや、説明責任を果たさない場合は速やかに辞職することを盛り込んだ勧告文を手渡した。
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報道によると、野々村議員は「調査に応じ、説明できない支出は返還する」「議員辞職を検討している」と話しているという。
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野々村議員は昨年度、計195回の日帰り出張費として、政務活動費から約300万円を支出していたとされる。カラ出張や大量の切手購入などの疑惑も次々に生まれている。しかし、野々村議員はその詳細を明らかにしていない。
このまま幕引きを図ることはできるのだろうか。全国市民オンブズマン事務局長の新海聡弁護士に聞いた。
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――野々村議員に対して辞職を求める動きが出てきた
「法的というよりは政治的な話になっています。つまり、有権者が納得できるかどうかですね。彼は政治家なので、一般の人と違って、説明責任があります。いくら自分としてはくだらないことだと思っても、みんなが聞きたいといえば、きちんと説明しないといけません。ところが会見では、説明が説明になっていませんでした」
――辞職をすれば問題は解決するのだろうか?
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「辞職すれば、いったんは落ち着くのでしょうが、公金である政務活動費を目的通りに使っていなかったとしたら、返還せざるをえないでしょう。今後、住民監査請求や住民訴訟、知事からの返還請求などに発展する可能性もあります」
――今回のケースをどう見たか?
「議員が政務活動費の支出において、非常にルーズであることがあきらかになったケースだといえるでしょう。税金を使っている意識がありません。
今回は号泣会見がきっかけとなって注目を集めていますが、カラ出張疑惑というのは、彼だけに限らず、毎年のようにどこかで起きていることです」
――詐欺などの刑事事件に発展する可能性は?
「ないとはいえないでしょう。最初から嘘であることがわかっていて、議長や知事をだますつもりで虚偽の収支報告書を出したということであれば、詐欺にあたるという解釈もできるでしょう。
しかし、単に、政務活動費の条例に違反にしたというだけでは、詐欺にはあたりません。支出の手続きに違反したから、すぐに『詐欺だ』と指摘する人が多いですが、手続きのルールに違反しただけでは、直ちに詐欺にあたるわけではありません」
――どうすれば良かったのか?
「領収書をちゃんと添付しておけば良かったんです。あんな出張をしたら、情報公開の際に『何の目的だったのか?』と問われるに決まっています。
ちゃんと目的があって行ったのならば、領収書を添付して、何に行ったのかという報告書を作成すべきでした。それでも問題になったら、書類をもとに説明して、間違っていたならば謝れば良かったんでしょう。
ところが、あの会見では、誰に対して説明するのかを忘れてしまっているように見えました。何のために自分がそこにいるのか忘れてしまっていたのでしょうか。
人間は失敗したときにどういうふうに頭を下げるかが重要です。政治家としての資質が問われています」
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
新海 聡(しんかい・さとし)弁護士
1961年、愛知県岡崎市生まれ。90年に弁護士登録(愛知県弁護士会)。名古屋を拠点に弁護士として働く傍ら、全国市民オンブズマン連絡会議の事務局長も。中京大学法科大学院等の兼任教員。趣味は旅行と音楽。
事務所名:弁護士法人OFFICEシンカイ
事務所URL:http://office-shinkai.com/
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