嵐・櫻井翔はなぜラッパーになった? その音楽的ルーツを紐解く

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2014年08月02日 11:00  リアルサウンド

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 嵐の櫻井翔が現在放送中の花王「エッセンシャル」のCMで、ジャニーズで20年かけて学んだという華麗なターンを披露している。


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 櫻井といえば、嵐の中では相葉雅紀とともに、どちらかというとダンスが得意ではない方のメンバーで、先日放送された『VS嵐』に出演した際は、松本潤に「(櫻井と相葉は振り付けを覚えるのに)寝かせるタイプ」と、すぐにはダンスを覚えられないことを指摘されていた。しかし、20年かけて培ったというターンは流麗であり、彼が元来とても真面目な“努力の人”であることを伺わせる。


 そしてその姿勢は、嵐の楽曲の中でももちろん活かされている。櫻井が本格的にラップを導入したことにより、ジャニーズ全体でラップがポピュラーになったことは周知の事実だが、彼のラップ=サクラップには、真面目な人柄ならではの魅力があり、だからこそ爽やかなアイドルポップスと調和しているのではないだろうか。


 櫻井が本格的にラップに興味を持ったのは、中学3年生の時。2012年の『ザテレビジョンzoom!!』によると「日比谷の野外音楽堂でやったヒップホップの大きなイベントがあって、それが自分にとって大きかったです」と語っている。これはおそらく、1996年7月7日に日比谷野外音楽堂で開催された伝説的ヒップホップイベント『さんピンCAMP』のことを指しているのだろう。『さんピンCAMP』とは、提唱者のECDを始め、YOU THE ROCK、LAMP EYE、ZEEBRA、RHYMESTER、DEV LARGE、SHAKKAZOMBIE、SOUL SCREAMなど、現在の日本語ラップ・ヒップホップシーンにも大きな影響を与えているアーティストが多数集結した伝説的なイベントで、櫻井のルーツはそこにあるのだ。


 ラップにはフロウ(節回し)、ライム(韻)、リリック(詩)といった要素があるが、櫻井のラップは昨今流行りの、いわば徹底的にアメリカナイズされた洋楽的なスタイルではない。日本語を比較的はっきり発音し、俳句のように言葉を当てはめていくタイプで、90年代に興隆を極めた日本語ラップのエッセンスが色濃い。トリッキーではないが母音を使って堅実に韻を踏んでおり、とても聞き取りやすく、しかも強いメッセージ性を持っている。言葉の選定もスマートだ。そういったスタイルは、フロウやライミングが発展した昨今のヒップホップに慣れた耳で聴くと物足りなく感じる部分もあるかもしれないが、しかし多くの人に届くものだろう。良い意味で優等生的なラップとなっており、そのイメージ作りに成功したからこそ、サクラップは嵐の楽曲の一部として定着していったのではないだろうか。


 もし、ヒップホップや日本語ラップは好きだが、櫻井のラップはちゃんと聴いたことがないという方がいたら、まずはポジティブなリリックに元気づけられる「Believe」や、メロディアスなトラックと叙情的なフロウが調和した「still…」、情景描写がリリカルな「素晴らしき世界」などを聴いてみてほしい。櫻井がラップに対し、真面目に向き合っているアーティストであることがきっと伝わるはずだ。(松下博夫)


※記事初出時、情報に一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。



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