アピチャッポン・ウィーラセタクン個展『FIREWORKS(ARCHIVES)』、記憶と光を探求

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2014年09月10日 21:30  CINRA.NET

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『Fireworks (Archives)』 2014年 ©Apichatpong Weerasethakul
アピチャッポン・ウィーラセタクンの個展『FIREWORKS (ARCHIVES)』が、9月11日から東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開催される。

1970年にタイ・バンコクで生まれ、記憶や夢、社会問題などをテーマに作品の発表を続ける映像作家アピチャッポン・ウィーラセタクン。現代美術作家として、『ドクメンタ13』をはじめとする数々の国際展に参加しているほか、映画監督として2010年に『ブンミおじさんの森』を手掛け、『カンヌ国際映画際』最高賞のパルムドールを受賞した。

今回の展覧会では、夜に鳴り響く花火の断続的な音と光を通じて、記憶と光の関わりを追究するプロジェクト『Fireworks』を中心に展示。タイ東北地方の歴史、伝承、記録を参照しながら、これまでに取り組んできた夢や眠りといったテーマを扱う同プロジェクトは、現在ウィーラセタクンが制作中の映画『王の墓』に繋がっているという。

同プロジェクトの初作となる『Fireworks (Archives)』は、タイとラオスの国境に位置する町・ノンカイの彫刻庭園サラ・ケオクー寺院で撮影。開祖の思想を具象化したヒンズー教と仏教を融合した数多くの奇妙な動物像が、祝祭を暗示する花火に照らされている様子が映し出される。

ウィーラセタクンは同作について、「私が生まれ育ったタイ東北地方の寺院にある石像彫刻の記録であり、花火による一瞬の照射を受けて幻覚を引き起こす記憶の装置です。バンコクから離れ政治的にも抑圧された東北という不毛な土地が、日常のリアリティーから飛躍した夢へと人々を駆り立てる。抑圧はかずかずの抵抗を生みましたが、ここに現れる気まぐれな彫刻たちもそうした抵抗のひとつなのです。暗闇に照り出される野獣の彫刻たちが役者の姿と混ざり合い、この土地の荒廃と開放とを謳っています」と語っている。
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