「ライブに出たくないから・・」アイドルが「うその被害届」を出したら軽犯罪法違反?

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2014年11月07日 13:11  弁護士ドットコム

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アイドルグループ「CoverGirls (カバーガールズ)」のメンバーの女性(22)が、ライブを休むために「うその被害届」を警察に提出していたとして、話題を呼んだ。報道によると、このメンバーは10月19日夜、大阪市内の自宅近くで「性的被害にあった」と府警に届けた。ところが、その後の警察の調べに対して「うそだった」と説明を一転。「ライブに出なくて済むと思った」と話したそうだ。


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グループの運営者は当初「ストーカー被害にあった」と発表したが、10月23日のブログで事情を報告。「発表に関し、事実と違うのではないかと報道機関より取材がありました。内容が内容ですので、現在慎重に事実確認を進めておりますことを、ご報告させていただきます」と説明している。



この女性はすでに「被害届」を取り下げたという。一般論として、「うその被害届」を提出していたとしたら、それは何らかの犯罪にあたる可能性があるのだろうか。刑事事件にくわしい星野学弁護士に聞いた。



●軽犯罪法違反に問われる可能性も


「実際には発生していない犯罪や災害を公務員(警察)に申し出た場合、軽犯罪法違反に問われます(軽犯罪法1条16号)。



今回のケースでは、アイドルグループのメンバーがライブを休みたくて、警察に『性的被害にあった』と被害届を出しているので、軽犯罪法違反によって、『拘留または科料』の処罰を受ける可能性があります」



星野弁護士はこう指摘する。説明に出てきた「拘留」とは、刑事施設に1日以上30日未満の間、拘置される刑罰。「科料」は、1000円以上1万円未満を徴収される刑罰だ。



しかし、星野弁護士によると、それだけで済まないかもしれないという。



●「偽計業務妨害罪に問われる可能性も大きい」


「今回のようなケースでは、軽犯罪法違反に問われるだけでなく、もっと罪が重い刑法上の偽計業務妨害罪(刑法233条)に問われる可能性も大きいでしょう」



偽計業務妨害罪とは、人をあざむくように企んで、業務を妨害する犯罪のことだ。法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」と軽犯罪法違反よりもずいぶんと重い。どうして、そうなるといえるのだろうか。



「アイドルグループのライブは、いろいろな人が関わる共同作業です。



実際にライブに出演するのはアイドルグループのメンバー自身ですが、チケット販売や宣伝、会場設営などを行うのは『ライブ主催者』です。また、所属事務所にはライブ日程を調整するなどの役割があります。



そんな共同作業において、メンバーのひとりが『うその被害届』を出したら、どうなるでしょうか。他のメンバーや主催者、所属事務所など、ほかのみんなが迷惑することになります。場合によっては、コンサート全体が中止になるかもしれません。



したがって、そのメンバーが、他の人たちの業務を妨害したといえる可能性があるのです」



その人が「休む」だけなら、それほど大事に至らないのでは?



「アイドルグループはメンバーの個性が重視されますので、他の人が代わりを務めるというわけにはいきません。お気に入りのメンバーが所属するアイドルグループのライブに行ったところ、その人がいなければ、やはりファンはがっかりしますよね。仮に、チケットの払い戻しなどをすれば、被害額も大きくなるでしょう」



星野弁護士はこのように説明していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
星野 学(ほしの・まなぶ)弁護士
茨城県弁護士会所属。交通事故と刑事弁護を専門的に取り扱う。弁護士登録直後から1年間に50件以上の刑事弁護活動を行い、事務所全体で今まで取り扱った刑事事件はすでに1000件を超えている。行政機関の各種委員も歴任。
事務所名:つくば総合法律事務所
事務所URL:http://www.tsukuba-law.com



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