万能の願望器、聖杯を巡り魔術師同士がバトルロワイヤルを繰り広げる「聖杯戦争」。その長きに渡る聖杯戦争の様子を描いているのが、TYPE-MOONの『Fateシリーズ』です。本編に当たる『Fate/staynight』通称s/n。大人気作品であるs/nのその一つ前、第四次聖杯戦争を題材としたスピンオフ作品、それが『Fate/Zero(通称F/Z)』です。
本編から10年前の出来事を描いているF/Zは、s/nの主要人物の親世代の戦いがメインとなっています。その中には幼年のs/nのマスターたちの姿も見ることが出来ます。「イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」もその一人です。
【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】
■造られた雪の妖精
アイリスフィール・フォン・アインツベルンと衛宮切嗣との間に生まれた最愛の娘。しかし彼女もまた、母アイリスフィールと同じく、生まれながらにして「聖杯の器」となる運命を背負ったホムンクルスでした。
二人にとって最愛の娘であることは確かなようですが、あくまで彼女は衛宮切嗣とアイリスフィールの精子と卵子により「造られた」存在なのです。それを示すかのように、アイリスフィールの胎内にいたときから様々な調整を受けた彼女は、8歳でありながら他の子供たちより明らかに発育が悪いのです。このことを嘆いた父、切嗣による「そこのワルサーよりもな、イリヤの体重は軽いんだ」というセリフが印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
■マジ天使!無邪気で天真爛漫な幼少期
s/nでも外見、口調共に可愛らしい印象を受けるイリヤスフィール。しかしあくまで成長が止まっているだけで、s/nの彼女は18歳。その上父切嗣のアインツベルンに対する裏切り行為により、第五次聖杯戦争の舞台に引き摺り出されることとなった彼女は、お爺様(アハト爺)により洗脳に近い教育と、苛烈な修行を強いられることとなります。そのためs/nでは無邪気さの中にも狂気と、また年相応の言動をする場面も多々見受けられました。
しかしF/Zでの彼女は正真正銘の8歳。またアインツベルンによる非人道的な教育も(恐らく)行われていないため、優しい父と母の愛情を一身に受けた、年相応の無邪気で愛らしい少女そのものなのです。特にアニメ1話で見られる、父切嗣との胡桃の冬芽探しのシーンは、彼女の動きや表情がとてつもなく愛らしくいつまでも見ていたくなります。ファンならずとも必見です。
■冷たい冬の城で両親の帰りを待つ
ホムンクルスとはいえ、アイリスフィールと切嗣の愛娘であるイリヤスフィール。両親が彼女にたっぷりの愛情を注いだように、彼女もまた二人のことを深く愛していました。イリヤスフィールに人として生きてほしい、その一心で両親は、第四次聖杯戦争に臨みます。そんな二人を幼いイリヤは一人冬の城で待ち続けます。
アイリスフィールとはホムンクルス同士、魂のレベルで繋がっているため、離れていても(それこそアイリスフィールが死んでしまってからも)会話をしているような場面が見受けられましたが、それでも8歳の少女が一人、冬の城で両親の帰りを待つ様子は胸を締め付けられます。
二人と共に城で過ごした8年間がなければ、彼女の人間らしい感情は存在しなかったかもしれません。しかし逆にその優しく穏やかな8年間があったからこそ、二人と離れ離れになった後の城での彼女の生活は、酷く辛いものだったのではないでしょうか。愛らしく、まるで愛玩動物のような幼少のイリヤスフィールの姿も、その後のことを考えるとこみ上げてくるものがあります。
現在放送されている本編、『Fate/staynight[Unlimited Blade Works]』では、イリヤの成長した姿が見られます。冬の城に一人置いて行かれた少女のその後・・・是非こちらのアニメで確かめてほしいです。
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★記者:柊723(キャラペディア公式ライター)
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